トランブ米大統領、「2017フェイクニュース大賞」発表 米大手メディア6社ランクイン

トランプ米大統領は17日、「2017年フェイク(偽)ニュース大賞」を発表した。この事を巡っては賛否両論の声が上がっている。

与党共和党のオフィシャルサイトで発表され、大統領が自身のツイッターアカウントで発信した同大賞。ランクインした11本はいずれも米大手各社によるトランプ氏の関連報道で、ロシアの米大統領選介入疑惑をめぐるものが中心。

発表後、共和党オフィシャルサイトはアクセス殺到により一時ダウンしたとみられる。

4本はCNN、2本はニューヨークタイムズ紙、ABCニュース・ワシントンポスト紙・ニュースウィーク・タイム誌はそれぞれ1本を占めている。

英BBCによると、1番の評論記事と11番のロシア疑惑(捜査中)をのぞいた報道は、関係各社または記者が公式に誤りを認めたり、内容を訂正したものだった。

2017フェイクニュース受賞リスト

1.「米経済は永遠に回復しない」とするポール・クルーグマン氏の評論記事(ニューヨークタイムズ紙、トランプ大統領当選確定の当日に掲載)

2.ブライアン・ロス記者による、ロシアの米大統領選介入疑惑に関する報道(ABCニュース)

(編注:「トランプ氏本人がフリン前米大統領補佐官にロシア政府との接触を指示した」という記事内容について、ABCニュースは後に「深刻な誤りだった」という謝罪声明を発表した)

3.トランプ氏と長男がウィキペディアから外交機密文書を極秘入手した(ロシア疑惑に関するスクープ、CNN)

(編注:後に「極秘入手した」とされる外交機密文書は、ウイキペディアがそれ以前にすでに公開したものと判明、CNNは記事の誤りを認めて謝罪コメントを発表した)

4.トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室から、(人種差別反対運動のパイオニアとされる)キング牧師の彫刻像を撤去した(タイム誌)

5.トランプ氏のフロリダ州の選挙演説会場に聴衆が閑散だった(ワシントンポスト紙)

6. 日米両首脳の魚餌やり映像を意図的に編集(CNN )

(編注:訪日中に、微笑む安倍首相を傍にトランプ大統領がエサを大量に投げ入れる写真が使われ、一部では「トランプ氏の行動は品位を欠けている」という批判があった)

7.スカラムーチ前ホワイトハウス広報部長がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けた(CNN)

(編注:後にCNNは虚偽の報道と認め、関係する編集者と記者の計3人が辞職した)

8.ポーランド訪問時、同国大統領夫人がトランプ氏の握手をスルーした(ニュースウィーク)

9.コミー前米連邦捜査局(FBI)長官は、トランプ大統領の「(ロシア疑惑に関する)捜査を受けていない」論調を否定している(CNN)

10.トランプ陣営は地球温暖化に関する報告書を隠ぺい(ニューヨークタイムズ紙)。

11.ロシア疑惑

(編注:ロシア政府が米大統領選に介入し、トランブ陣営と結託してヒラリー・クリントン氏に不利な流れをつくろうとしたとされる疑惑。米司法当局が捜査中)

マスコミ批判を繰り広げているトランプ大統領に対し、「極端すぎる」「報道抑圧」といった批判の声と、「確かにその物言いがストレートで過激な言動が目立つが、もっと客観的に評価すべき」といった同情論が飛び交い、賛否両論のようだ。

共和党公式サイトは大賞発表と合わせて「トランプ大統領に関する報道の90% 以上はネガティブな内容」とした上、就任後の功績を枚挙した。

有識者の間では、トランプ氏とメディアの摩擦を引き合いに、客観・中立などの報道倫理が一部歪まれていることに懸念の声が上がっている。

 
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