【動画ニュース】スウェーデンTV局「中国人には謝るが中国政府には謝罪しない」中国政府が激怒

スウェーデン中国人観光客が起こした騒動に端を発した、同国メディアと中国政府の批判合戦。スウェーデン・テレビのキャスターは、同番組の報道が適切でなかったとして中国人に謝罪しましたが、その一方で中国政府にはなおも挑発的な態度を崩さず、火に油を注ぎました。

「スウェーデン・ニュース」のキャスター、ジェスパー氏は9月28日、自身の発言がネット上で攻撃されていることを挙げ、人種差別的発言によって傷ついたすべての人に対し謝罪すると表明し、「十数億もの人々を不快にさせてしまった以上、言ってよい冗談ではなかった」と述べました。

その一方でジェスパー氏は、この謝罪は中国政府ではなく中国人に向けたものだと強調し、中国共産党体制を批判する書籍を出版・販売していた香港「コーズウェイ・ベイ書店」出資者の1人で、スウェーデン国籍を持つ桂民海(マイケル・クイ)氏が中国国内で拘束されたことを例に挙げ、中国当局による言論弾圧を批判しました。

中国人ジャーナリスト 宇明氏

「欧米諸国では人権が重視されるため、相手の誤解を招いたり、相手を傷つけたりした時は率直に謝罪する。政府は我々納税者で成り立っており、国民のために働くべきものだ。なぜ共産党に謝罪しなければならないのか」

スウェーデン・ニュースは9月21日、「親愛なる中国人観光客へ」と題した北京語音声付きの風刺番組を放送し、中国人観光客に対してマナーを守るよう呼びかけました。これを受けて、駐スウェーデン中国大使館は、中国人が侮辱されたとして番組を強く非難し、テレビ局に謝罪を要求していました。テレビ局側は、これはコメディ番組であり誤ったことはしていないとして謝罪の必要はないと表明していました。

中国人ジャーナリスト 宇明氏

「番組の中で指摘された中国人観光客がどこでも大小便をする、これは実際にあった出来事だ。それを中国政府はむきになってつついている。中国国内の厳しい言論統制は皆知っている。でもここはスウェーデンだ。相手を誹謗したら訴えられるが、喋る自由はある。彼らは共産党のやり方を世界に押し付けてはいけない」

ジェスパー氏は9月28日の番組の中で、真っ赤に塗りつぶされた世界地図を提示し、「全世界が中国のもの」と皮肉たっぷりにコメントしました。

中国人メディア関係者・映画製作者 石宇歌氏

「これは決して笑い話ではない。私たちがニューヨークで集会やシンポジウムを開くと、NYの新聞がまだ報じていないのに(中国共産党は)すでに知っている。スウェーデンの人々は自覚していないだろうが、客観的事実をあぶりだしている。中国共産党が世界にかなり浸透しているという事実だ」

今回、中国当局がこれほどまでに怒りをあらわにした理由について、桂民海(マイケル・クイ)氏の件やダライ・ラマのスウェーデン訪問などについて不満を表しているのだと推測されていました。しかし石宇歌(せき うか)さんは、今回の事件を口実に中国当局が民族主義をあおろうとしているのだと考えています。

中国人メディア関係者・映画製作者 石宇歌氏

「中国当局は 実際にはこの事件の前も後も相手を絶えず変えながら、互いに反目し合う雰囲気を作り出している。その相手として当局は強大な国は選ばない。彼らが選ぶのは比較的友好的な国、または中国との貿易があまり盛んでなく、利害の衝突があまり起きない国だ」

番組の報道後、中国政府は新たに怒りを爆発させました。駐スウェーデン中国大使館は「中国共産党政権は14億の中国人から支持された政府だ。今回の報道には誠意が感じられず、悪意が込められている」と発言しました。

ジャーナリストの宇明さんは、これを中国当局の典型的な思考パターンだとし、こうした世論を誘導することで、自分たちは世界中から見下されていると中国人に思わせようとしていると分析しています。

中国人ジャーナリスト 宇明氏

「欧米のテレビ局キャスターが悪意を込めて一体何をするというのか。そういう中国当局こそが、これまでずっと誰かに罪をなすり付けるというやり方を取ってきた。他の手段を持っていないからだ。中国当局は人民の言論を厳しく統制する一方で、対外的には14億の人民に支持されているという。これを冗談と言わずして何と言おう」

もっとも石宇歌さんは、中国共産党は14億の中国人の代弁者にはなり得ないが、愚民化教育を施され、洗脳された一部の中国人を代表することなら可能だろうとしています。

中国人メディア関係者・映画製作者 石宇歌氏

「中国国内にはバランスを欠いた情報に影響されたために、あの旅行客の話を真に受けている中国人が未だに多くいる。だから中国当局が完全に彼らを巻き込んだとは言えない。彼らは今でも 何一つ分かってはいないのだ。これこそが中国人が抱える目下の最大の悲劇だ。彼らはいま悲劇の舞台の主人公を演じているのに、自分たちは国の主であり 、喜劇の中で生きていると勘違いしているのだ」

この件で、多くの中国人ネットユーザーがネット封鎖を突破して、スウェーデン外務省やジェスパー氏のフェイスブックアカウントに、彼らを批判するコメントを大量に残しました。こうした行動は彼らの民度の低さを示していると感じる人もいます。あるネットユーザーは「まるで中国人が自由に合法的にフェイスブックに投稿できるようになったみたいだ!」と皮肉を込めてコメントしています。

 
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