Was Trump’s Huawei Decision a Trade War Misstep?
Huawei―中国テレコムの巨人。国家安全保障の脅威だと告発されている。トランプはHuawei禁止令を出した。そして禁止令を延期させた。二回も。これは貿易戦争の判断ミスか?それとも 更に大きな計画の一部なのか?
チャイナ・アンセンサードへようこそ。キャスターのクリス・チャペルです。
米中貿易戦争が始まってから公式的には1年以上が経過しました。しかし非公式的には、約20年前から中国共産党がすでにアメリカに対する貿易戦争を仕掛けてきたのです。
獲得したWTO加盟国の地位を使い、アメリカの知的財産を盗み、為替を操作し、法律をねじ曲げ、中国企業に便宜を図って来たのです。
トランプ大統領は貿易戦争を仕掛けたのではないけれど、それを終わらせることができるのでしょうか?
中国問題の専門家Gordon Chang(ゴードン・チャン)さんに聞いてみました。
クリス・チャペル
Gordonさん、番組に来てくださってありがとうございます。
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
こちらこそありがとう。
クリス・チャペル
丁度 ほぼ1年前に番組にお越し頂いた時、こう質問をしました。「貿易戦争で勝つのは誰だと思いますか?」あの時は、答えるにはまだ時期が早すぎると。一年後の今、誰が貿易戦争に勝つのでしょうか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
昨日(8月18日)までは、明らかに合衆国が貿易戦争に勝っていました。それを聞きたかったんですよ。しかし今日は‥合衆国にとってかなり暗い日となってしまいました。
昨日まではトランプ大統領の勝ちだと思います。関税を課して中国を痛めつけていました。
ここで肝心なのは、合衆国の力を使い、中国を良い方向へ押し動かそうとしていたのです。
ところが今日は状況が違います。大統領は今日、中国の通信機器メーカーのHuawei Technologiesに商務省の禁輸措置対象リストにおける二度目の90日間猶予を与えました。禁輸措置対象リストに記載されると、米企業から技術の使用認可や購入ができなくなるのです。
Huaweiがアメリカの技術を盗んだのは明らかです。そのうえ、国家安全保障に対する脅威でもあります。そして確かにトランプ大統領も昨日こう言いました。「Huaweiは国家安全保障に対する脅威だ」
しかし今日、商務長官のWilbur Ross氏は、「これから90日間はアメリカ企業にやりたい放題させてあげるよ」と言いました。政治的意志表示の失敗だと思います。
6月末の大阪G20の時のことを思い出してください。トランプ氏と中国の君主である習近平の間で内部取り決めがありました。
端的に言えば、中国はもっと多くのアメリカの農産物を買う事に同意し、我々はHuaweiに猶予を与えることに同意した。
それは全くひどい取引です。どこからどう見てもね。
クリス・チャペル
何故ですか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
まず第一に我々がやっているのはまるで第三世界の国のように、一次産品を売り、その一方で中国に先端技術へのフリーパスを与えています。
我々がHuaweiに米国技術の利用を許可して、例えば GoogleのライセンスやQualcomm のチップの購入など、それが本質的に 黙認しているのは、第5世代移動通信システムである(5G)における彼らのリードなのです!
5Gはモノのインターネットです。5Gと人工知能を制する者が21世紀の経済を制すると考えられています。
なのに我々はHuaweiのリードを許しているのです。アメリカはブラジルのようになりたくはない。一次産品を売る国のようにね。
クリス・チャペル
アメリカのサッカーチームはブラジルほど上手じゃないしね。
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
アメリカチームもブラジル人のように上手だったら良かったけど、でもそれとこれとは話が別です。
重要なのは、一次産品の売り手に転落して、中国から製造品やハイテク製品を
購入するような国になりたくはないということ。ですから、これは大変な失策でした。
でも、話はもっとひどくなるんだよ結局、中国は口先だけでアメリカの農産物の大量購入もしなかった。約束を破ったのですよ。
トランプ大統領の対応は?
中国側は約束を不履行、トランプ氏は約束通り実行しているのです。見てくれは随分悪いですね。これが一時的な失策であると思いたいですが、しかし今は二度目の90日猶予です。一度目は相手の保証もなし。結局のところでね、二度目は更にひどく、三度目がもしあるなら大惨事となるでしょう。
クリス・チャペル
聞こうと思っていたのですが、貿易戦争の過程でトランプ政権は中国に新たな関税措置を行い、そして関税措置を延期し、あのHuawei禁止令もHuaweiを制裁すると言ってそれも延期です。これは矛盾したメッセージを送っていると思いますか?それとも政権によるより大きな計画の一部なのでしょうか?トランプ氏の考えを分かる人がいると思いますか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
はた目には良くは映りませんね。関税を課すことは重要です。それはアメリカの知的財産の盗難に対する救済策であることを忘れないで下さい。
米国の知的財産権窃盗に関する委員会のBlair Huntsmanレポート、または米国通商代表部の2018年3月レポートを見れば、中国が数千億ドルもの窃盗を行っているのは明らかです。実際に1500億ドルか6000億ドルなのかは議論の余地がありますが、ポイントはたとえ低い方の数字で見ても、イノベーションを基礎とする経済にとってはなはだしい損害です。だから今すぐ全力的に中国の合衆国からの盗み行為を阻止すべきです。
そして、これは中国の我々に対するWTOの義務違反とは、さらに別な話です。中国は単純な義務違反よりさらに悪質になっており、その行動は全面的に悪化しています。
トランプ政権がこの問題をはっきり認識できたのは良いことです。すでに何らかの対応をしていますが、まだ十分ではありません。
クリス・チャペル
貿易戦争の究極の目的は?貿易赤字の是正ではないと聞きました。
トランプ政権の長期的な目的は何だと思いますか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
長期的な目的はアメリカ経済を中国経済から引き離すと考えます。我々の工場を中国から引き上げるのです。
もっと明確に言えば、友好国あるいは自国の製品を買うのです。自国のを買わないのなら、少なくとも友好国から買うのです。
貿易収入を軍事力につぎ込む国ではなく、国の高官が公然と上機嫌にアメリカ人殺りくを語るような国ではなくて。ある中国軍の上級将校は12月中に2回も、公にアメリカ海軍とグローバル・コモンズに対する正当な理由のない攻撃を促しました。2度目の時は、中国海軍大将の発言によると、弾道ミサイルで米国の空母を2隻撃沈し、1万人のアメリカ人を殺してやろうと思っていると。そんな国と貿易をすべきではありません。
それにそれは、ただ自慢しているだけではない。
昨年、中国はアメリカのC-130機にレーザー照射し、二人のパイロットの目に一時的に損傷を与えたのです。航空機のパイロットの目を見えなくさせるのは、墜落させて乗組員を殺そうとしている事だ。
そして、広州では中国は米国領事館に対して、ソニック攻撃も実行し外交官に脳損傷を与えたのです。
そんな事例が多々あるのです。だから、明らかに中国と貿易をすべきではありません。完全に間違っています。
明らかに、 Huaweiに猶予を与えるというトランプ大統領の今日の決定は大きな間違いです。
中国銀行が米ドルに対する人民元安を容認していますが。これは戦略的な動きと思いますか?そう考えます。
中国は為替を操作しています。二つの方法でね。まず第一に、資本規制。第二に、取引日ごとに目標レベルを設定し、通貨の取引がそのレンジ内に限定されているのです。
数週間前に、中国がこれまでの安値限界値を下げてきたと考えます。トレーダーにサインを送り、通貨がその重要な7対1を下回るべきという。これまでの元安値限界値は7人民元=1ドル。
クリス・チャペル
中国が元の価値を切り下げていますが、それは有利なことでしょうか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
我々にとって有利です。中国にとって、それがどうでしょうね。
まず第一に、そうすることによって、アメリカ向けの製品を安くすることができます。それは確実に、トランプ氏の主張を支持する結果になります。つまり上乗せした関税を払うのはアメリカの消費者でないこと。ですから、それが中国の人々にとって、有益だとは思えません。
しかし、中国の人々にとって、もっと重要なことがあります。中国が常に抱えている潜在的な一番の問題は資本逃避です。2015年と2016年に、恐らく2.1から2.2兆ドル規模の純資産が流出しました。これは中国経済を崩壊へと導きかねない損失です。
通貨安の結果、人民元が心理的節目である7対1を割り込み。それを見た中国の人々は「今こそ人民元をどうにかする時だ。もっと安全なものに移し替えなくては」
現に中国人の金購入の証拠が増えています。社会全体の心理だけど、これは非公式の資本逃避です。資産を人民元から引き揚げ、金などのハードアセットへ投資しているのです。ですから、中国経済には問題が生じると考えます。
通貨安を容認するとしたら、どこまで進行するでしょうか?8対1?9対1?”誰にもわかりません。中国はこの資本流出問題に悩まされるでしょう。
前回は2つの方法で問題を解決しました。通貨価値の安定維持、プラスさらに厳しい資本規制です。
それで資産流出を食い止めることはできても、中国経済に深刻な連鎖反応を引き起こしてしまうのです。もし海外へ資金を持ち出せないなら、誰も国内に持ち込もうとはしないでしょう。同時に国内にも、非常に悪いシグナルを送ることになります。
中国は通貨安の操作ができ、それを国策の一つにできますが、しかし結局、それは合衆国よりも中国自身を痛めつけることになるでしょう。
クリス・チャペル
これは長い間議論になっていることですが、中国共産党の中国経済を強く支配する方式は実際中国経済にアメリカ経済より強い早い回復力をもたらしているのです。その通りだと思いますか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
短期的には、そうです。多くの事ができますから。例えば、中国経済に2008年の景気後退は起こりませんでした。世界規模の金融危機でしたが、中国では発生しませんでした。しかし、中国は大規模な景気刺激策により2008年の危機を回避しましたが、それが中国経済により大きな不均衡をもたらしてしまったのです。
そしてある時点で、経済学者の言う「調整」が起こるのです。言い換えれば、一般に言う「破綻」や「暴落」。中国はそういうことができます。なぜなら、借り手と貸し手、銀行や裁判所など、全てをコントロールできるから。ですから中国は短期的には恩恵を受けるでしょうが、その一方で、解決策のない問題を作り上げ、史上最悪の経済破綻を引き起こすかもしれません。つまり、それが有利な点であると同時に、不利な点でもあるという訳です。覚えてください。中国共産党が市場を圧倒する力を持っていても、抑圧すればするほど、経済の不均衡は拡大します。問題をますます解決できないものにしているのです。だから、想像以上に危険な結果となるのです。
クリス・チャペル
経済調整についてですが、アメリカで前回の景気後退から10年が経ちました。まもなく次がやってくると言う人もいます。もしそうなると、米中のパワーバランスにどんな変化が起こるとお考えですか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
そうなればもちろん、パワーバランスは中国側にシフトするでしょう。
利回り曲線を見れば、10年物の米国債の金利が短期証券を大きく下回る逆イールドとなっています。これは景気後退が来るサインです。それを見た時は景気後退がやって来るということです。そうです、景気後退が近づいているのです。でも、来るのが2~3年後なのかはわかりません。逆イールドになってから景気後退が起こるまでは、しばしば時間差が生じます。
我々が今見ている利回り曲線の変化は人々が米国経済について思っていることを反映しているのではなく、むしろ他国の人々が自国の経済をどう考えているのかを反映しています。国外は酷いものだから、人々は資金の逃避先を探しています。例えば、アメリカ10年国債のような。それが原因の一部でもあると思います。
また是非覚えてください。景気後退は避けようがないことで、自由市場では景気回復も必ず起こると同様。ですから、いずれ景気後退は起こりますが、でもいつでしょう?ずいぶん先のことだろうと思います。つまり、もっとずっと先のことだから、短期的には中国の助けにはならないでしょう。
これがまさに我々が話していることです。
クリス・チャペル
選挙が近づいているのにですか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
そうです。選挙が近づいているにも関わらずです。
別に今から2020年11月の間に景気後退が絶対ないと言っているのではなく、おそらくないだろうと考えているのです。無論、これはその時になってみないとわかりませんが。しかし、過去の景気後退を見てみれば、過去のバターンでは景気後退は近づいていますが、おそらく、選挙に影響を与えるほど早い時期ではないでしょう。
クリス・チャペル
中国共産党がアメリカを攻撃するため、どんな経済的手段を持っているとお考えですか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
それほど多く持ってはいないと思います。やれることはあるけど、しかし、そういうことは我々より中国自身を痛めつけてしまうので、現実的に手段を持ってはいないと言えます。
この貿易戦争において、中国が唯一有利になれることは政治的な意志だけです。今日まで、トランプ氏の政治的意志は習近平氏を上回ると思っていました。今はその確信がありません。我々の大統領はまだ長い道のりがあるようですね。我が国の経済を守るという意志があることを国民に証明するには。
クリス・チャペル
財政的見地から言えば、アメリカの一般市民と比較して、平均的な中国市民は危機感があるのでしょうか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
中国において平均を語るのは非常に難しいことです。何故なら格差がとても大きいから。
典型的な共産党の幹部は何百万という大変な金を手に入れ…ほとんどの幹部がそうですよね。…全員がそうです。彼らが危機を感じるとは思いませんね。
しかし、経済データを見れば心配せずにはいられないはずです。中国は今年の上半期に6.3%の成長を発表しました。全くあり得ない数字です。特に、過去の基礎的な指標を見てみると、例えば 6月と7月は惨憺たるものでした。更に、国内需要が大変弱くなる兆候が見られます。最も重要なのは輸入額の勢いが衰えていることです。それは中国国内の需要を忠実に反映しているから。いくつかの消費者関連データを見て、人々が「中国はもはや製造を基盤とする経済ではない」と主張しています。
それは何よりだよ。製造業のPMI景気指数はどれも赤く点滅中なので、しかし、製造業が中国にとって、もはや重要ではないと言おうとしても、個人的には間違っていると思っているけど。いずれにせよ、車の販売台数は7月まで連続13か月下がりっぱなし。今年度の販売台数は昨年とは対照的に マイナスになるでしょう。それは先行指標なのです。
経済のみならず、中国国民がその経済に対する信頼を示す指標でもあります。昨年12月に中国人民大学の教授が言ったことを思い出してください。2018年の中国経済の成長率は最大でも1.67%縮小する可能性さえありました。そして中国の発表は「我が国の2018年における成長率は6.6%」
そんなわけがないでしょう。中国経済が実際どうなのかについて、我々は一日中議論できるけど。おそらく「6」というより「0」にもっと近いでしょう。
クリス・チャペル
多くの人々が言うには、貿易戦争は本質的に中国共産党の存続を脅かすもの。
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
自身を全能かつ無敵で、絶対に正しい組織として仕立てた時、全てが自身の存続の脅威となり、経済はなおさらそうです。なぜかと言うと、人々が言う様に そしてまさにその通り。党が公然と標榜しているのは絶えずの繁栄は 共産党統治の賢明さを表す。それなら、経済が衰退している場合、共産党は完全に正しいのではなく、支配すべきではないという可能性を示すことに。
それは不平不満の原因となり、中国にとって悪い時期に不満が高まっています。それは共産党統治の持続を脅かす問題であると考えます。例えば、香港やその他の多くの問題と同様に。
クリス・チャペル
今でも自由市場にはいくらかの希望があると思いますか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
自由市場には素晴らしい希望があります。最終的に勝つのは自由市場です。
それは時に数十年かかることもありますが、冷戦の時のように。
冷戦時、我々は勘違いし、ソ連の経済は非常にうまく行っていると思い、CIAが提出してきた推測でも、ソ連が我々より良い業績を上げているという。ソ連の経済は生産的でより進んでいると人々が思った時、ソ連は確かに冷戦に勝利していたのです。
中国に関して、これと似たようなパターンを経験しています。そして今、人々はこう言い始めています「もしかすると、中国経済はそれ程すごくないかも」
我々がこれから目撃するのは基本的に人々がこう言うでしょう。「なんてことだ。向こうは崩壊しているじゃないか」「民主主義により取り込むように方針を新たにした方がいいぞ」
そうなるでしょう?
クリス・チャペル
最終的に貿易協定は結ばれると思いますか?
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
数十年先のことであれば、そう思います。
今なら、そうは思いません。
理由の一部は中国の政治システムが現在凍り付いているように見えるからです。かなり麻痺していますね。追い詰められた心理状態にあるね。貿易戦争あり、経済はボロボロ、香港問題もあるから、そして上層部では様々な派閥間の政争があり、この政争が全ての問題を悪化させて来たのだと思います。
全能の支配者として君臨するのは、国全体がうまく行っている時は素晴らしいものです。習近平氏にとって、2017年がそれです。
2年後の2019年の今は、物事はそれほどうまく行っていません。
習近平氏は誰にも責任を押し付けることができません。全員から権力を取り上げたので、責任を負うのは彼自身しかいないのです。彼自身で責任を積み重ねてきたのです。
2012年、彼が共産党の総書記に就任した時、中国は集団指導制でした。良いことがあっても誰も褒められず、悪いことがあっても誰も責められませんでした。良いことがあっても誰も褒められない理由は誰もがその決定に加わっていたからです。
今はそうではないのです。それからもちろん、習近平氏は党の制度や慣行を打破したので、自分を押さえつけていたルールを取り除きました。しかし、それらのルールは彼を守るものでもあったのです。
トランプ氏は2020年11月に選挙に直面すると人々が言いますが、習近平氏にとっては毎日が選挙日。トランプ氏に起こり得る最悪の出来事は再選されないこと、しかし、習近平に起こり得る最悪の出来事はかなり悪いものでしょう。
クリス・チャペル
今日は来て頂きありがとうございます。今回も洞察に満ちた内容でした。
中国問題専門家 ゴードン・チャン氏
こちらこそ、ありがとう。