【動画ニュース】香港で遺体発見通報が急増 市民が抱く警察への疑念

香港で逃亡犯条例改正反対運動が始まってから5か月が過ぎました。状況は悪化し続け、青年と学生の自殺や死因不明の死亡事件が相次いでいます。警察が発表した最新の統計データによると、今年6月から9月までの自殺案件と遺体発見通報案件は前年から大幅に増加しました。一般市民の間では、その中に「反送中」運動活動家が含まれているとの憶測が広まり、警察と中共の暴力的報復によって市民が命を落としているとして、警察の暴力に対し厳正な調査を求めています。

先日、香港保安局の李家超(ジョン・リー)局長は議員からの質問に書面で回答した際、警察の統計データを発表しました。それによると、今年6月から9月までの自殺者数は256人で、前年同期よりも34件多く、その中には飛び降り自殺、首つり自殺などが含まれていました。遺体発見数は2537件で、昨年より311件増加しています。

李局長は、これらの死亡事件では警察の調査と法医学者、臨床病理学者による検死が行われ、「死因裁判官」が関連の報告を審査したと説明しています。

しかしそれでも、香港警察は中共の指揮のもとで殺人鬼と化したのではないかという市民の疑念は払しょくされていません。

6月に「反送中」運動が始まってから、デモ参加者の間で性犯罪、輪姦、殺害、自殺に見せかけた他殺といった事件が相次ぎ、溺死者や飛び降り自殺者の数も急激に増加しています。その一方で香港警察は死因について「疑わしい点はない」と主張しています。

香港民主党 林卓廷議員
「現在のデータについて人々は非常に心配している。これらの案件に疑わしい点はないのか?政府は彼らの死因をさらに詳しく公表すべきだ」

カナダ在住の中国人作家、盛雪氏は、香港警察による民衆の鎮圧は、10月ごろからさらに激しさを増しており、現在までのデータはより衝撃的なものになるだろうと予測しています。

11月4日早朝、香港科技大学の学生だった22歳の周梓楽(しゅうしらく)さんは、香港郊外・新界の高層マンション群「尚徳邨」(しょうとくそん)で警察と市民が対峙した際に駐車場の3階から2階に転落して重傷を負い、11月8日に亡くなりました。

香港民主派と民間人権陣線は声明を発表し、周梓楽さんはデモの現場で重傷を負って死亡した最初の若者で、警察は今もビル管理会社の監視カメラの映像を確認しても真相は分からなかったと主張しており、「警官の暴力に対する独立調査」は香港の道徳と理性の最低ラインとなったと指摘しています。

香港教育専業人員協会も声明を発表し、政府が死因を詳細に問いただし、警察側が行き過ぎた捕捉や救援妨害を行っていないかどうか厳しく調査するよう要求しています。

11月 17日午前にも尚徳邨で再度、若者の転落事件が発生しました。

香港メディアはマンション(尚体楼)の屋上から17歳の少女が転落して即死したと報じました。警察は現場に遺書はなく、以前に起きた複数の転落事件と同様、初期の調査では事件性はなかったとして、死因は検死が終了してから確定すると発表しました。

13日夜10時過ぎには、市民が新界の荃湾区(チュンワンく)葵涌勝耀街の嘉里物流センターの向かいで、上下に黒い服を着た青年が血まみれで地面に倒れているのを発見しました。病院に運ばれた青年はその後死亡し、警察は「単純な転落」と発表しましたが、あるネットユーザーは警察がデモの参加者を撲殺したあと、自殺を装って「二度殺した」のではないかと疑っています。
カナダ在住の中国人作家、盛雪氏
「あらゆることが、ますます多くの事実と証拠が、中共が香港に人を送って暗殺を行わせていることを示している。こうした膨大な数の死亡事件のどれもが疑惑をはらんでいる。常識や理屈では説明できないものだ。これは個別の殺人事件ではない。これは中共の暴政が香港政府と共同で、香港の抗議者たちを殺害する行為だ。この性質を確認する必要がある」

盛雪氏はさらに「中共は武器や戦車といった人々が簡単に意識を向けられる手段を直接的に用いるのではなく、秘密裏にその他の卑劣な手段によって事実を覆い隠している。この点をよく理解しなければならない。また国際社会にこの点を強く注目させ、効果的な行動をとって阻止しなければならない」とも指摘しています。

米日刊紙のワシントンポストは社説のなかで、香港の状況がここまで来たのは、最初は平和的だった抗議活動に対し中共当局と香港政府が強硬な姿勢で臨んだからであり、香港市民を鎮圧するため中央政府は今後さらに強烈な武力手段を講じるだろうと予測したうえで、米国とその他の民主主義国家は対応する準備を整えなければならないと指摘しました。

上院共和党トップのマコーネル議員は先日演説中に、中共に香港で天安門大虐殺を再現させてはならないと発言しました。

EUも香港理工大学で発生した強烈な衝突について声明を出し、香港警察は行動を厳格に制御し、暴力に訴えず、平和的な集会と言論の自由の権利を守らなければならないと表明しました。

11月19日、20日に米国の上院と下院はそれぞれ「香港人権・民主主義法案」を可決してホワイトハウスに提出し、トランプ大統領が27日に署名し、法案が成立しました。

 
関連記事