【動画ニュース】中国に失業の嵐か 李克強総理が『安定雇用』を指示

米中貿易戦争の影響を受け、中国経済の衰退が進むなか、国務院の李克強総理がこのほど文書を発表し、「安定雇用」を最重要事項に挙げるよう要求しました。また企業のリストラに端を発する突発的な大規模デモなどを防ぐよう求めてもいます。

中共国務院の李克強総理はこのほど、「安定雇用」の強化に関する文書を発表し、企業にリストラに関するルールを制定し、六項目の重点措置によって、中国に「大規模な失業の波」が起きるのを防止するよう求めました。

文書には、企業による職場の安定化と、より多くの雇用部署を設けるようサポートすることを含む複数の措置が打ち出されており、中でも突発的な事件に対応するメカニズムを整備し、失業によって発生する集団による突発的な事件に即座に対応する措置を取るよう各地に求めると特に強調されています。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「中国経済が苦境に立たされる中、より多くの企業破産や閉鎖、倒産に見舞われるだろう。企業が破産する時には大量の作業員が解雇される。中共が今このような文書を出しているが、彼らはすでにこれは予言ではなく、実際に発生している問題であり、すでに大規模な解雇を目の当たりにし、失業の波の到来を認識しているからだ」

中共当局は複数の経済会議で「六つの安定」について言及していますが、その中の「雇用の安定」は「六つの安定」のトップに挙げられています。

台湾の起業家で社会活動家 高為邦氏
「(中共が)憂慮しているのは失業者の権益ではなく、これらの失業者が集まってデモによる抗議を行うかどうかだ。これは非常に深刻な問題で、全体的なものになるからだ」

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田(しゃでん)教授も、中国の経済、政治、社会の危機はすべて一触即発状態にあり、中共は失業者の大群が彼らの政権に打撃を与えることを非常に恐れているのは明らかだと指摘しています。

この文書ではさらに、経済上の理由によって人員整理を行う企業に対し、従業員の配属プランの制定と実施を求めており、30日前に労働組合または従業員全体に関連状況の説明を行って補償金を支給し、さらに未払いの給料を支払って未納の社会保険費を補填するよう求めています。

謝田教授は、「中共は企業に対し従業員の解雇を行わず、給与の支払いを継続するよう求めているが、これは詭弁だ。企業は金がないからリストラするのであって、すでに負債が山積みだ。どうやって給料を支払い続けろというのか」と示します。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「この行政主導の強制的なやり方が打ち出されると、下では対策を考えるが、間違いなくでっちあげや虚偽の報告、偽の帳簿で中共をだますだろう。そしてある日、彼らが把握しているのとは違う失業率が突然明るみに出て、収拾不能な事態におちいる。その時になると中共は失業の大波に荒れる大海の中に沈む」

謝田教授は「中共が今回通達した文書は何の役にも立たないし、彼らはどの問題も解決できない。なぜなら中共自身が問題の根源だからだ」と指摘しています。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授謝田教授
「特権を持ち、全体主義で、(利益の)独占と略奪を行っている中共政府こそが真の問題であり、彼らは庶民と利益を争っている。トランプの貿易措置は実のところ貿易戦争のための措置だが、中国人民に有利で、中共の特権階級には不利になる。実際には今が中共特権集団を歴史の舞台から下ろすときだ」

台湾の起業家で社会活動家の高為邦(こう・いほう)さんもまた「中国大陸で大量失業が起きる直接的な原因の一つは米中貿易戦争だ。なぜならトランプ大統領の追加課税によって、多くの外資系企業が中国から撤退し、中国企業もまた次々と破産閉鎖に追い込まれているからだ」と指摘しています。

米サウスカロライナ大学エイケン校の謝田教授
「中共は実際には略奪を行う吸血鬼のような経済体だ。この経済体はもう持ちこたえられなくなっている。中国経済が内部にはらむ矛盾によって、経済の衰退が生じている。貿易戦争はそれに油を注いで、中共に外部からの資金援助と輸出のチャンスを継続的に失わせたに過ぎない」

謝田教授は、トランプ大統領が再選されて二期目に入ったら、中共に対する経済制裁や貿易制裁は必ず激しさを増すと分析し、中共は経済の先行きにマイナスの影響を受け、失業者数もまだまだ増えると語っています。

李克強総理が今回の文書を発する前日の12月23日、中国社会科学院も『社会青書』を発表し、その中で経済の下降圧力と、米中貿易戦争の影響が継続的に醸し出され、周期的・構造的・摩擦的要素が重なり合って作用したことで、中共の雇用状況変数と圧力はいずれも増加し、さまざまなリスクが集まっていると記されています。

 
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