中共が豪州に報復措置 大麦の高関税と食肉輸入禁止

中共政府は、オーストラリア産の大麦に高関税を課すと発表したことに続き、オーストラリアの食肉処理大手4社に対し、食肉の輸入禁止措置を取りました。これは疫病の発生源の独立調査を求めているオーストラリア政府への報復措置であると見られています。オーストラリア政府関係者は、世界貿易機関(WTO)への苦情の申し立てなど、あらゆる方法で対抗すると述べています。

ダンピングを理由に、中共当局は近日、オーストラリア産の大麦に73.6%の反ダンピング関税と6.9%の反補助金関税を課すと発表しました。さらに12日には、オーストラリアの食肉処理大手4社に対し、食肉の輸入禁止措置を取りました。

オーストラリアのメディアは、中共当局のこの動きは、オーストラリア政府がウイルスの発生源について独立した調査が必要だと強調したことと関連していると指摘しました。

オーストラリア首相 スコット・モリソン氏(2020.5.11)
「対中国の大麦の貿易額は、17億から6億に下がっている。状況に基づいて決めることを望む。中国の立場からは、これは反ダンピングの問題で、他の問題と結び付けていない。もしそうであれば、私は非常に失望するだろう」

オーストラリアのスコット・モリソン首相は5月11日、北京当局に理性的に判断するよう呼びかけました。

中国側は、関税の根拠をオーストラリア側のダンピングと農家に対する補助金制度としていますが、オーストラリア政府はこれらを否定しています。

バーミンガム連邦貿易相は、中国側がオーストラリアの生産者に対して不公平な扱いをする場合、オーストラリアはあらゆる方法で対応を模索し、世界貿易機関(WTO)に苦情を申し立てると述べ、強硬な姿勢を示しました。

オーストラリア連邦貿易相 サイモン・バーミンガム氏(2020.5.12)
「数十万人が死亡し、数百万人が仕事を失い、数十億人の生活が乱されている。(疫病の)調査を行うのは当然のことだ。しかし、これらとは全く関係ない。豪州産大麦またはほかの製品の輸出と関係ない。我々は関連性があるとは思っていない。他の国もこれらの間に関連性があると思わないでほしい」

オーストラリアの大麦は毎年、少なくとも半分が中国に輸出されており、オーストラリアの産業界は最近議会に書簡を提出し、オーストラリア経済が中国市場に過度に依存していることを指摘しました。 現在、中国は関税をもって圧力をかけてきており、オーストラリア国内の世論が騒然としています。 中国は最大の貿易相手国であるため、経済・貿易関係の正常化を維持すべきだという意見もあれば、中共の暴挙に直面して、勇気を持って抵抗することが必要だと主張する専門家もいます。

ヒューマン・ライツ・ウォッチオーストラリア支部主任 エレーヌ・ピアソン氏(2020.5.4)
「中共当局が見せているのは虐め行為だ。虐める者に対し、沈黙してはならない。立ち上がって抵抗しなければならない。豪州がやるべきことは、これは豪州だけの対中国討論で終わるべきではない。全世界がパンデミックの影響を受けている」

オーストラリア政府は4月下旬、国際社会に対し、独立した調査員を中国に派遣してウイルスの発生源や感染拡大の原因を調査すべきだと主張しました。これに対し、駐オーストラリア中国大使は4月、中国はオーストラリア産牛肉やワインなどの製品に対しボイコットする可能性があると述べました。

 
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