中国南部で続く洪水被害に加え 地震と土砂災害も【禁聞】

洪水災害が深刻化する中国南部で複数の地震が発生しました。7月2日、三峡ダム上流の四川アバ・チベット族チャン族自治州でマグニチュード3.2の地震が発生し、貴州省ではマグニチュード4.5の地震が起きています。地盤のゆるみにより大きな災害が発生するのを憂慮する声も上がっています。その前日には重慶市の綦万で山崩れが発生し、土石流が道路を寸断しました。雲南省の昭通市彝良県(いりょう-けん) の河川、白水江の水位も一夜で急上昇し、深刻な災害を引き起こしました。

中国南部は6月から集中豪雨に見舞われ、全国ですでに250の河川の水位が警戒水位を超え、洪水が発生しています。

洪水被災地を一連の地震が襲いました。7月2日朝4時ごろ、三峡ダム上流の四川アバ・チベット族チャン族自治州でマグニチュード3.2、震源の深さ8キロの地震が発生しました。また午前11時には貴州省畢節市(ひっせつ-し)赫章県(かくしょう-けん)でも震源の深さ13キロ、マグニチュード4.5の地震が発生しました。

四川省と貴州省で豪雨が続いたあとで地震が発生したことから、大規模な土石流の発生や、三峡ダムの決壊を懸念する声もあります。

これより前に重慶市や雲南省など複数の地域でも土石流が発生していました。重慶市水文観測所は、6月30日の8時から7月1日の8時までに重慶市綦江(きこう)で豪雨が発生し、その影響で重慶市内のS0101三環高速道路付近で、1万平方メートルもの土砂による大きな山崩れが発生しました。

山崩れが猛烈な速さで高速道路にまで達し、道路の中央分離帯が見る間に押し倒されて土砂に埋まる様子が撮影されています。

重慶市の多くの地域で連続的な大雨が続き、一部地域では土壌が飽和状態になって土砂災害が非常に起きやすくなっています。

官制メディアによると重慶市江津区(こうしんく)で7月4日から5日にかけて再度豪雨が発生し、川の水位が急激に上昇し氾濫しました。地元住民2000人あまりが避難したと伝えています。

数日前には重慶の珊瑚湾(さんごわん)居住区の管理会社が住民に出した知らせが話題になりました。知らせでは、今年の洪水の水位は1981年の193メートルに達すると予測されるため、4階より下の住民に対し洪水対策を取るよう求めています。

豪雨の影響を受けた長江支流の白水江の水位も急上昇し、雲南省昭通(しょうつう)の複数の地域で大洪水が発生しました。

中央電視台は、6月29日の23時から30日の早朝にかけて、雲南省昭通市鎮雄県(ちんゆうけん)、彝良県(いりょうけん)、威信県(いしんけん)などで集中豪雨が発生し、複数の地域で土砂災害が発生したほか、彝良県の白水江の水位が一晩で8.24メートル上昇し深刻な被害が発生したと報じています。
彝良県牛街鎮(ぎゅうがいちん)に住む李さんは、過去50年で最悪の洪水に見舞われたと話しています。

雲南省昭通市彝良県牛街鎮住民の李さん
「学校から個人(の家)まで、本当にたくさん(のものが流された)。ひどい被害を受けた人もいる。流された家や、水没した学校や連絡が取れなくなった学校もあるし、一部のスーパーマーケットや個人の車など、数えきれない」

雲南省昭通市彝良県の王さんは、大洪水で多くの家屋や自動車が流され、土砂災害の被害も深刻で、今は自力で何とかしていると話しています。

雲南省昭通市彝良県住民の王さん
「柳溪中学の被害が大きい。洪水で冠水した後、泥を運び出さなければならない。泥は一般市民や学生が運び出している」

王さんはさらに、洪水は6月30日朝6時ごろが一番ひどく、住民が連絡を取り合って、命を守るため店を捨てて逃げたとも話しています。

彝良県洛旺鄉中廠村の村民、杜さんは朝の5時に眠っていたところ、岩が転がり落ちてくる音が聞こえたので飛び起きると自宅から10メートルのところまで土砂がゆっくりと迫っているのが見えたため、急いで家族を起こして息子の家に避難したと語っています。

昭通市の複数の地域では豪雨と山津波が起こり、彝良県牛街鎮では川辺の家屋が倒壊し、大量の自動車が冠水したほか、タンクローリー一台が激流に呑まれ、ライトが付いたままの乗用車も流されて橋脚にぶつかる様子も撮影されています。柳溪鎮の柳溪小学校は冠水し、一部住宅街は1メートルの高さまで冠水しました。

6月中旬にも昭通市の一部地域で豪雨による山津波が発生しており、現地の家屋の一階が冠水し、道路が川のようになりました。普洱鎮のある住民は、目の前で家族が流されてしまいましたが、官製メディアは報じていません。

降り続く大雨による中国南部の洪水によって少なくとも26の省の住民が被災し、長江上流のダムと三峡ダム、そして黄河上流で同時に行われた放水によって、下流の省や市の被害が増し、三峡ダムから40キロの宜昌が洪水に見舞われたほか、湖南省の鳳凰古城も冠水しました。

撮影された動画によると、武漢市を含む湖北省の複数の都市が冠水しています。道路の冠水や電線の水没によって、多くの住民が避難中に流されたり感電死したりしています。

長江流域全体で雨が降り続いたため、黄河上流の小浪貯水池は6月29日から毎秒5520立方メートルで放水を開始しました。6月30日にはダムにたまった水を減らすために放水量を増やしたため洪水が発生して南下し、大雨の影響も受けてその日の午後に水量が増加しました。その結果錢塘江(せんとうこう)蘭溪観測所の水位が警戒水域の28メートルに達し、警報が発令されました。

豪雨がやむきざしはなく、中共水利部は6月30日、「7月と8月は中国で水害警戒期間にあたり、長江と黄河の洪水が頻発する傾向がある。水利部は水利分野において基準を超える洪水、ダム事故、土砂災害という『三大リスク』に重点的に取り組んでいる」と発表しました。

7月5日から6日にかけて、長江流域と淮河(わいが)流域の重慶、湖南、湖北、安徽、江蘇、浙江、貴州などが再び洪水に見舞われました。

武漢市では24時間最大降水量が250mmを超え、5日早朝、最高レベルの大雨赤色警報が発令されました。

6日、武漢は道路が冠水し、乗用車が水没し、建物の1階が浸水しました。

重慶市では5日午前6時50分頃、中益鄉のダムの橋が流され、家屋数十軒が水没し、国道319号の重慶区間で山崩れが発生しました。

安徽省では淮河南部で集中豪雨が続き、6日、黃山景勝区の道路が洪水で寸断されました。

 
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