道路より高い長江の水位 江西永修では堤防が約100メートル崩壊【禁聞】

連日の大雨に加え、三峡ダムと洞庭湖からの洪水や鄱陽湖の逆流によって水位が上昇し続け、過去最高を記録しました。武漢市内の状況は深刻で、長江の一部区間では水位がすでに市内の主要道路よりも高くなっています。江西省永修県三角郷では7月12日夜に堤防が決壊しました。ある防災担当者は、江蘇省政府は避難指示を出したが、長江流域の主要幹線道路上流ですでに堤防が決壊したのではないかと疑っています。

7月13日午前11時の「長江水文網」のデータによると、武漢市内の長江流域に設置されている漢口観測所の水位が28.77メートルに達し、過去4番目の水位を記録しました。

あるネットユーザーが撮影した動画によると、長江の一部区間の水位が都市部の幹線道路の高さを超えたことが分かります。長江日報は、武漢市街地の海抜の平均は24メートルで、これは川が人の頭上にある階の高さを流れている状態と同じで、数日の間に洪水のピークが武漢市を通過する見込みだと報じています。中国水利ネットは12日、武漢の漢口観測所の水位は7月14日に過去3番目の高水位となる29メートルに達する見込みだと予測しています。

武漢長江大橋中華路1号ふ頭のゲートが封鎖されたのは、1998年以来22年ぶりのことだと作業員は指摘しています。多くの市民が大通りの沿江大道の漢陽門から川の様子を眺めていますが、川沿いはすでに封鎖されています。

武漢市民
「ここに来て見てよ。たくさんの人が川を見ている。警戒水域ラインまであと少し。98年の水位はこれより少し高かった。でもが今日と明日で雨が降ったらまた水位が上がるだろう」

武漢市洪山区の李さん
「多くの場所が冠水した。今私たちがいる武漢江灘公園でも水位が恐ろしいほど上がっていて、警戒水域ラインを超えている。(砂袋で)堤防を作ってゲートを全部閉めている。漢口や多くの場所では自動車の半分が水没し、走れなくなった」

現在、湖北省の多くの県や地域の洪水対策緊急対応レベルが最高の1級に引き上げられています。武漢市に隣接する黄岡市でも連日の降雨と長河(ちょうが)の水の逆流によって、黄岡師範学院に水が流れ込み、最大1.5mの深さに達しました。

中共政府は13日に、豪雨による長江の洪水ピークがすでに12日夜に湖北省漢口から江西省九江の間を通過したと発表しました。また、鄱陽湖の水位はすでに7月12日午前0時に警戒水域を3.53メートル超え、過去の最高水位22.52メートルを1センチ上回って観測史上過去最高を更新しました。

鄱陽湖の水位が上昇したことで、鄱陽湖西岸に位置する江西省永修縣三角郷で12日夜、堤防が100メートルにわたり決壊し、被害は三角郷の14の村の約3333ヘクタールの農地と2万6000人の住民に及びました。また7月13日には永修県内の大通り、昌九大道が洪水により1.5キロメートルにわたり冠水し、一部の水深は2メートルに達しました。

江西省九江湖口県の住民、麗麗さん
「鄱陽県あたりの住民の損失は計り知れない!あの辺はたくさんの家が倒壊してもいる。私たちのところと同じで、あちらも少し低い。恐らくあの堤防が弱かった」

江西省九江市でも江洲鎮の全住民に対し、7月13日までに完全に避難を終えるよう緊急通知を発し、18歳から65歳までの成人は残って洪水対策に当たり、それ以外の人たちが避難を開始しました。その日、江洲鎮の住民は寝具や日用品を持って自宅から避難しました。

動画音声
「すべての家財を持って川を渡る。寝具や油、家の中のすべての部屋にあるもの全部放置した。とてもつらい気持ちだ」

江洲鎮付近の湖口県の住民は、そこでも避難があったと語っています。

江西九江湖口県住民の麗麗さん
「私たちのところでも避難した。多くの場所が冠水し、農村の農地も冠水した。ある鎮では上流のダムの堤防が決壊して冠水した」

この住民は、これまでに補償の話は聞いたことがないと言います。

江西九江湖口県住民の麗麗さん
「補償などはない。親戚がいれば親戚の家に行くよう言われてはいるが、政府は何も手を打っていない。手が回らないのだろう」

あるネットユーザーは「赤い王朝は世界で大盤振る舞いができるのに、なぜ火の中、水の底にいる人民を助けられないのだろう」と痛烈に批判しています。

「長江網」は、三峡ダムの水位は11日夜8時の時点ですでに150.5メートルに達し、危険水位を5.5メートル上回ったと報じています。洪水対策管理に基づくと、今後大量の水が放流される可能性があります。

米国の中国語放送「希望の声」は13日、防水対策の最前線で働いていた作業員の金明さんからの情報として、江蘇省洪水対策部門の内部文書によると、南京市の長江の中央にある島「江心洲」の作業員に対する避難指示も出されたが、その一方で別の上級宣伝部門が、作業員が水害関連の情報を漏らすことを禁止するとの通達があったことを報じています。金さんは、政府がこの種の厳格な通知を出したのは1983年以来37年ぶりのことで、おそらく長江流域の主要幹線道路の上流で決壊が発生したのに、政府は発表していないのではないかと推測しています。

また、通常1時間に一度の頻度で更新される「長江水文網」のデータ更新が6時間もとまりました。13日午後8時、三峡ダムへの水の流入量は毎秒34,000立方メートル、放水量は18,800立方メートルでしたが、その後の6時間は更新がストップし、14日の午前2時に三峡ダムの観測情報が再度更新されました。

 
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