「選挙に不正があった」ミャンマー軍がクーデター 背後にチラつく中共の影

2月1日、ミャンマーで突然の軍事クーデターが発生し、アウンサンスーチー氏とウィンミン大統領を含む政府要人が一斉に軍に拘束されました。また、軍は昨年11月に行われたとされる不正選挙を調査するため、1年の非常事態宣言を発令しました。

現地時間2月1日未明、ミャンマーの実質的な最高権力者であるアウンサンスーチー氏、ウィンミン大統領らが軍に身柄を拘束されました。 与党の国民民主連盟(NLD)はのちにこのことを認めており、また、一部の国会議員や地方閣僚も拘束されました。

ミャンマー軍は後に、軍のテレビで、今回の行動は昨年11月の選挙で行われた大規模な「不正行為」に対処するためのもので、今後はミンスエ副大統領が大統領代行を務め、1年間の非常事態に入り、非常事態が終了した時点で新たな選挙を行うと発表しました。 これは軍事支配への回帰を意味しています。

昨年11月の選挙では、国民民主連盟が圧勝しました。一方、ミャンマー軍は選挙過程で大規模な不正行為が行われ、計860万件の不正事件が発生していると主張しています。また、軍部は選挙管理委員会に最終的な選挙人名簿の公表を要求したものの、拒否されました。ミャンマーの選挙委員会は、総選挙では投票の信憑性に影響を与えるような問題は何も起きなかったと主張しています。

ミャンマーでの軍事クーデターのニュースは国際社会に大きな波紋を呼び、英・仏・米をはじめとする欧米諸国の首脳や国連事務総長がミャンマー軍の行動を非難する発言をしています。

米国のバイデン大統領は、この事件に対して声明を発表し、ミャンマー軍によるアウンサンスーチー氏らの拘束と国家非常事態の宣言は、民主主義と法の支配への移行に対する直接的な攻撃であると述べました。

バイデン氏はまた、国際社会が協力してミャンマー軍に圧力をかけ、権力の掌握を放棄し、拘束された高官を解放するよう呼びかけ、ミャンマーへの制裁を復活させると脅しました。

2日、ミャンマー軍は、自宅軟禁を条件に、拘束した地方官僚と議員を釈放すると発表しました。現在、アウンサンスーチー氏とウィンミン大統領は自宅に軟禁されています。また、国連安保理事会はミャンマーの情勢に関する会議を開くとしています。一方、今回のクーデターの背後に中共勢力が潜んでいるとの見方も出ています。

ドイツの国営放送、ドイチェ・ヴェレによると、前国連駐ミャンマー特使の李亮喜(り・りょうき)氏とドイツキリスト教民主同盟の外交政策広報担当のユルゲン・ハート議員は、ミャンマーのクーデターは中共政権と関係があると指摘しています。ハート氏は「ミャンマーのクーデターには多くの疑問点があり、背後で大国が操っているかどうか、私にはわからない。今年1月、中共外交部の部長がミャンマーを訪問し、ミャンマー軍の代表者と会談した。中共がその時に、政権奪取を促したのかもしれない。私はEUにクーデターの全容に関して詳細な調査を行うよう求める」と述べています。

今年1月、中共外交部の王毅部長がミャンマーを訪問した際に、ミャンマー軍の代表者および最高権力者のアウンサンスーチーとそれぞれ会談しました。

現在、ミャンマーには数万人の中国人のビジネスマンと労働者が滞在しており、ミャンマーと中共は長年、微妙な関係を維持しています。中共は昔のミャンマー軍政府をずっと支持していましたが、のちにアウンサンスーチー氏の国民民主連盟率いる新政府に対しても支持を表明しています。

しかし近年、ミャンマー軍の関係者は中共がラカインの反政府武装集団に武器を提供したと批判しています。アウンサンスーチー氏が習近平氏と一帯一路の推進で合意するなど、中共はミャンマーの各陣営に浸透しています。一方、ミャンマーは中共のターゲットから逃れるために、日本やインドとの協力の道を模索し始めています。

 
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