トップクラスの中国富豪私的サークル泰山会が解散 身の危険を感じた?【禁聞】

中国トップクラスの富豪の私的サークル「泰山会」が先日、多くの懸念を残したまま解散を発表しました。あるアナリストは、泰山会は中共の独占禁止法違反というハンマーを振るわれたと分析していますが、別の評論家は、独占禁止法違反は口実に過ぎず、本当の理由は党が彼らの富とハイテク資源を手に入れようと画策しているからだと指摘しています。

1993年に設立され、これまで謎のベールに包まれていた「泰山会」が1月に解散するという衝撃のニュースが広まりました。しかしその理由を外部から知るすべはありません。

泰山会には、集会の内容の録音も記録も行ってはならず、メディアにも露出しないとの内部規定があると言われており、「フリーメイソン中国版」とも言われていました。

泰山会の入会条件は非常に厳しく、入会にあたり、新規会員の資産が1億元(約16億円)以上、さらに会員2人からの推薦が必要とも言われていました。

解散前の泰山会はレノボ創始者の柳傳志、復星グループ董事長の郭広昌、ジャイアント・インターネット・グループの史玉柱といった経済界の大物16人で構成されていました。この16人の資産の合計は2兆元(約32兆5900億円)を上回るという統計もあり、過去十年余りの間、多くの中国企業の成功の裏には泰山会の影がありました。

アリババ創始者の大富豪ジャック・マーも泰山会のメンバーでしたが、欠席を繰り返したことで退会したと言われています。

泰山会の解散については、内部で会員同士の意見の相違や対立が起きたためと報じられていますが、ある中国メディアは、ここ数年はメンバーの理念が一致していなかったとはいえ、創始者の段永基(だん・えいき)が2017年に退会しても泰山会の運営には何の影響も及ぼさなかったと指摘しています。

ある中国市場関係者は、この会のメンバー企業の発展ルートは市場の発展に沿って変化したことで互いの違いを認めながら共存発展することが難しくなったため、解散は必然だったと分析しています。

また中国のある自主メディアは、メンバーの多くにビックテックを抱えている泰山会の解散は、中共が最近反ダンピング法を推進していることに関係していると報じています。

さらに別の報道は、この件は最近安否が気遣われていたジャック・マーに関連しているとも指摘しています。

中国のベテランジャーナリスト高瑜氏
「中国の、完全に国営ではないが国営企業と深いつながりのあるこの種の企業が、今年のこの情勢のなかで彼らは一種の危機感を強く覚えた。生存の危機、生命の危機だ。彼らは厳しい要求を感じたのでさっさと解散したのだろう。中国は党のコントロールが効かないこうした富の存在を決して許さない。だから彼らはこうした意図を感じ取って、急いで解散したのだろう」

中国のベテランジャーナリストの高瑜(こうゆ)氏は、反独占禁止法は口実にすぎないと考えています。中国では党のリードこそが最大の独占で、党が独占禁止法を振りかざしただけで、ジャック・マーですらおとなしく事業を差し出さざるを得ませんでした。

高瑜氏
「党のリードに逆らえる人物がいるだろうか?このクラブのメンバーに『あなた方の企業の中で党支部や党委員会が設立されていないところがあるのか』と聞いてみるがいい。だがインターネット技術などはすべてこれら大企業が握っており、ハイテク関連の人材も集まっている。そのことに対し中共は恐怖を感じた。だからお前の富を奪ってやるぞ、そしてお前の技術力のすべてをおれが手に入れるぞということだ」

泰山会の前身は1987年に設立された北京民営科技実業家協会です。1993年に入るとメンバー数十人が泰山産業研究員の設立を発表し、2005年に名称を泰山会と改めました。これ以降、会員数は16人に制限され、超富裕層の私的な交流サークルに変わりました。

香港のアップル・デイリーは時事評論家の桑普氏の分析を引用して「習近平はすでに特権階級を処分すると警鐘を鳴らしており、早くから泰山会に目を付けていた。このグループは党内で設立されたものではないため、秘密裏に会議を行って定期的にグループ内で情報交換することができ、中共はこれをコントロールできない」と報じています。

米国在住の時事評論家、邢天行氏は「中共はどの組織に対しても極度に憂慮している。こんなに長い間何のもめ事もなかったのに、いまになって泰山会が突然解散した。中共がかつてないほどに政治上の安全管理を強化したということだ。中共体制においては、純粋なビジネス富豪は存在しない。泰山会の解散はまさに、彼らの背後の勢力が現在の政治生態に抱いている恐れと、萎縮と自衛を反映している」と述べています。

米国在住の時事評論家、邢天行氏
「表面的には富豪が管理下に置かれてこの圧力に耐えられないように見えているが、実際のところ、彼らの背後の政治勢力がすでに習近平政権の強さを目の当たりにした。例えば、泰山会が解散しない場合、習政権がメスを振るったら彼らは背後の政治勢力から保護してもらうことはできない。そして彼ら個人に何かの事情が発生した場合、背後の政治勢力が身を亡ぼす可能性もある」

桑普氏は、現時点で中共によって存在が許されている唯一のブラザー・クラブは、7人の常務委員からなる中国共産党中央政治局常務委員会だけだと述べています。

 
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