連邦政府から補助金を受けている500人の科学者 外国政権と結託の可能性は?

米国立衛生研究所(NIH)は、連邦政府から研究資金を受け取っている500人以上の科学者を特定し、彼らが外国政権と懸念すべき関係を有している可能性があると警告しています。同研究所の責任者は、連邦議会上院の公聴会で、最大の懸念は科学者等が外国機関から追加で受け取った資金を隠匿していることだと語っています。

米国立衛生研究所(NIH)の学外研究責任者マイケル ・ラウアー(Michael Lauer)博士は4月22日の上院保健委員会で、米国の研究者における外国の影響について語りました。

いくつかの外国政府は、生物医学研究の共同作業の性質を利用し、米政府から研究資金を受け取っている研究者に対し不当な影響を与えるための組織的プログラムを発動しているといいます。

米国立衛生研究所学外研究責任者/マイケル・ラウアー
「上院議員の方が仰る通り、これは重大な脅威だ。私たちはこれまで200以上の研究機関を調査し、500人以上の科学者に問題があることを特定した。一つ一つ何が起きているのか正確に解明するのは多大な労力を必要とする」

マイケル・ラウアー氏は、NIHでは4月時点で、90か所以上の研究機関に連絡を取り、懸念される200人以上の科学者への調査を完了し、現在も対象を拡大し調査を続けていると述べました。

NIHが発表した2020年のデータによると、年末までに調査された189人の科学者のうち93%が中共政権から非公開の資金を受け取っていました。

米国立衛生研究所学外研究責任者/マイケル・ラウアー
「様々な方法でNIHの体制から排除された科学者は100人を超えている。辞職、契約打ち切り、早期退職、活動制限などだ」

これらの科学者の多くは50代のアジア系男性です。しかしラウアー氏によると、NIHでは、外国生まれではなく、中国系でもない、懸念される科学者も確認しているといいます。

米政府監査院(GAO)のキャンディス・ライト氏は委員会で、調査員には向上のためのトレーニングが必要だと述べています。

米連邦政府監査院事務局長代行/キャンディス・ライト
「主任クラスの調査員たちから聞いた話だが、調査員の多くは外国の人材募集プログラムについて何も知らず、あるいは知っていてもどのようにしてそのプログラムを突き止めたらよいか分からないという」

キャンディス・ライト氏は、NIHは情報開示の方針を強める必要があると指摘し、政府監査院は金銭的な利益相反だけではなく、非金銭的な利益相反、例えば時間と労力の相反なども調べるようNIHに勧告しています。

米保健福祉省の担当者もまた、口を揃えて言っています。

米国立衛生研究所学外研究責任者/マイケル・ラウアー
「米監察総監室(OIG)は、米政府から資金を受け取る医学研究に対して、不当に影響を与え、利用することを目的とした外国政府の行動の脅威を、米保健福祉省(HHS)の最大クラスの問題であると認識している。この脆弱性の対処については米監察総監室の勧告トップ25にランクされており、私たちもこの問題により厳しく対処することを提案する」

今週初め、イリノイ州の数学教授が、連邦政府の補助金を申請する際に、中共政府から受け取った資金を隠匿していたとして起訴されました。

また4月27日、中国出身の化学者が1億2000万ドル(約130億円)相当の米国の企業秘密を盗もうと企てた罪で、有罪判決を言い渡されています。

〈字幕版〉

 
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