ファーウェイの元販売担当幹部 スパイ容疑で裁判=ポーランド

中東欧市場での影響力に打撃

中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)のポーランド支店の元幹部が、スパイ容疑で裁判にかけられています。この幹部とポーランドのサイバーセキュリティ専門家は、ビジネスを利用し、中国共産党のためにスパイ活動を行ったとされています。

中共のためにスパイ活動をしていた疑いで起訴された2人の男性が、6月1日にポーランドで裁判を受けました。

起訴されたのは、ファーウェイの現地法人で販売担当の幹部だった中国人の王偉晶(おう・いしょう)氏と、ポーランド公安庁(ABW)の上級職員でサイバーセキュリティの専門家のピョートル・ドゥルバイヴォ氏です。しかし、二人ともに無罪を主張しています。

この事件は機密事項として扱われているため、裁判は非公開で行われます。

2人は、2019年1月にポーランドの捜査当局により逮捕されました。

トランプ前政権は、安全保障上の理由から欧州の同盟国にファーウェイの次世代携帯電話ネットワーク機器の排除を呼びかけていました。

これにより、ファーウェイに対する欧州での警戒感が高まり、米国の対中戦略によって欧州での地位が失墜しました。

ポーランドの日刊紙「ガゼタ・ウィボルツァ(Gazeta Wyborcza)」が報じたところによると、王氏の起訴状には、2011年から2019年までスパイ活動を行っていた可能性があるとされています。またその間、王氏はポーランドの政府データシステムにおける機密情報の窃取と影響力を獲得するために、ファーウェイとの契約を求めていました。

有罪判決が下された場合、最低で3年の禁錮刑が科せられます。裁判は数か月かかると予想されています。

ファーウェイは、事件が進行中であるため、コメントを拒否しました。

ポーランドで行われたファーウェイの現地法人で販売担当の幹部だった王偉晶氏に関する裁判は、欧州市場におけるファーウェイの地位に大きな打撃となる可能性があります。特に、ファーウェイが中東欧市場全体を失う可能性があります。

ポーランドは中東欧諸国の中で最も強力な経済力を持っています。ポーランドの国内総生産(GDP)は、この地域において他の10数か国を圧倒しています。

東欧の地域大国であるポーランドのファーウェイに対する強硬姿勢は、中東欧の他の国々にもドミノ効果をもたらす可能性があります。

米国もそれについて認識しています。2019年、トランプ前政権はポーランドと5Gで協力する協定を締結しました。理由としては、ファーウェイなどの中国通信企業の関与を排除するためです。マイク・ペンス前副大統領は、この動きが 「他の欧州諸国にとって重要な手本となる 」と強調していました。

 
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