河南省で過去最大級の豪雨 地元市民「地下鉄で多くが溺死」

河南省が三日連続で過去最大の豪雨に見舞われています。省都の鄭州市のほか、複数の主要都市が稀に見る大洪水に襲われ、現地は見るに堪えない様相を帯びています。

自動車が濁流に呑まれて流される様子や、ミニカーのように水面に浮かんでいるのが見えます。これはハリウッドの撮影シーンではなく、中国の河南省鄭州市で実際に発生した状況です。

7月19日から20日にかけて鄭州市では豪雨が降り止まず、市内各地が一夜にして水没しました。河川の氾濫のように激しい水流を伴う洪水が発生しました。

7月20日午後4時から5時にかけて、鄭州では過去最大級となる一時間に200ミリを超える大雨が降りました。この雨で複数の河川の水位が上昇を続け、少なくとも中型・大型のダム31か所で水位が警戒水域を越えています。鄭州市の洪水・干ばつ対策本部は7月20日、現在の洪水対策が厳しい状況に追い込まれているため、すでに一級洪水対策緊急対応を発動したとの緊急通知を発しました。

鄭州市の地下鉄でも甚大な被害が発生しました。地下鉄5号線では多くの乗客が車内に閉じ込められ、車内の水は胸の上まで達しました。乗客のある女性によると、レスキュー隊が車両の頂部に穴を開けて救助を開始するまで、乗客は車両から出られなかったといいます。

同様の状況は他の地域でも数多く発生しています。ある地下鉄駅では洪水が地下を流れる川のようになった様子が撮影されました。また別の場所では救助された乗客が意識を失っていました。またある場所では洪水の水面が建物の三階の高さにまで達していました。

鄭州市民の李さん
「非常に深刻な状況だ。市街地では多くの場所で断水や停電が起きており、地下鉄では水が流れ込んでたくさんの人が溺れ死んだ。鄭州でどれだけの人が亡くなったのか分からない。私たちのところでも水道も電気も止まっている。私のスマートフォンも充電がもう切れそうだ」

河南省の別の住民は新唐人の取材に対し、弟の李浩鳴さんとその友人の行方が分からなくなったと明かしています。

行方不明者の李浩鳴さんの家族
「彼らは3時に京広路のトンネルで消息を絶った。この二人の行方は今も分からない。レスキュー隊に電話をかけたがつながらない。ずっと話し中だ。どんな小さな情報でもいい。弟がどこにいるかを知りたい」

洪水によって鄭州市のすべての地下鉄が運行停止となり、多くの公共交通機関と鉄道が閉鎖や速度制限を余儀なくされているほか、ほとんどのフライトが遅延やキャンセルとなっています。

河南省鞏義の住民
「今、車の上にいるんだ!」

連続三日間、河南省全体が強烈な豪雨に見舞われました。河南気象観測所は、嵩山(すうざん)、鞏義(きょうぎ)、新密、偃師(えんし)、登封(とうほう)の五か所の気象観測所では、3日連続で降水量のピーク値を更新していると発表しました。

登封市(とうほう-し)のアルミ合金工場では20日、洪水により爆発が発生して火柱が立ち上りました。公式発表によると死傷者はいないとのことです。

現在、少林寺を含め河南省では50か所を超える観光名所が臨時閉館しています。

河南省平頂山汝州の村民
「大雨が降って洪水が起きた。昨夜は一晩中降り続いた。停電もした。高圧電線が全部断線した。雨がひどく降っている。上流にあるダムのどこかが決壊したようだ。たくさんの車が水に流された」

歴史的な大洪水によって、河南省の主要な都市と町に住む住民の生活が大きな打撃を被っており、各地で停電や断水が発生しているほか、インターネットへの接続もできない状態に陥っています。当局が発表した気象予報では、7月20日から21日にかけて河南省黄河以北と鄭州、洛陽、開封(かいほう)、平頂山(へいちょうざん)などで豪雨が発生し、ところにより極めて大きな豪雨に見舞われるとしています。

ソーシャルメディアでは、河南省在住の多くのユーザーから、救助を求めるメッセージが次々と発信されています。

官製メディア「人民日報」の最新の報道によると、21日の0時までに河南省鄭州市で12人が死亡しました。

 
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