鄭州で大洪水も中共メディアの扱いは小さく【禁聞】

河南省鄭州で記録的な豪雨が発生し、甚大な被害が生じています。現地では人の胸の高さまで水位が上昇し、地下鉄が浸水し、至る所に遺体が浮かんでいます。この深刻な災害に直面してもなお、官製メディアの「人民日報」はこの大災害を第一面で取り上げませんでした。鄭州市当局は「大雨が終わったら都市がより清潔になるだろう」と述べています。

河南省鄭州市で発生した豪雨による深刻な被害状況は、住民がインターネットに投稿した動画によって拡散されています。

この動画は隴海(ろうかい)高速道路高架下の様子を撮影したもので、急流のようになった洪水の中を市民が列を作って高い地形の場所を目指して進んでいます。若い男性二人が必死で支え合っているのも見えますが、流れに押されて腕がほどけ、流されそうになりました。

この交差点では、市民が車の上に避難したものの、迫りくる濁流から逃げることもできず、なすすべのない様子が撮影されています。またある市民は、父と息子と思われる二人が濁流に流される様子を撮影しています。

「何かに捕まって!ああ!子供一人と父親だ。子供が流された。人が流された」

別の道路では、洪水に流されている女性に対し「早く立ち上がれ」と叫んでいる人がいます。

「みんなが力を合わせてあの人を助けようとしている」

これは映画ではなく、河南省鄭州の地下鉄で本当に発生した災害です。車両の半分が水に浸かって、乗客は動くこともできません。

「水がすでに腰のところまできた。腰を越えた。外の水はもっと増えている」

7月20日午後6時ごろに大量の水が鄭州の地下鉄内に流れ込みました。車両に閉じ込められたネットユーザーは「2時間の間に水位が胸のところまで上がり、洪水が押し寄せてくるのが見える。このままここにいたら溺死する」と投稿しています。8時半ごろにレスキュー隊員が到着して閉じ込められていた乗客の一部を避難させました。死亡者は12人、負傷者は5人だけだったと当局は発表しましたが、ネットユーザーがネットに投稿した動画には、プラットフォームや車両の上のたくさんの遺体が映っています。

地下鉄で深刻な死亡事故が発生しているほか、地上でも水面に多くの死体が浮かんでいます。

鄭州の時代広場の住民、葉さんは取材に対し、二日連続の大雨で、水深がかなり増したと話しています。

鄭州市在住の葉さん
「ここの交差点の水がとても深くなった。もしかしたら私たちの店まで浸水するかもしれない。私たちのレストランは1階にあるし、断水や停電している場所も多い。私は元々地下鉄に乗る予定だったが、乗らなくてよかった」

鄭州市在住の劉さんはボランティア救助隊とともに、閉じ込められた市民の救助に当たっています。

鄭州市在住の劉さん
「ご飯を食べていない人が多い。昨夜からずっと飲まず食わずなのだ。老人や子供がたくさんいる。水がとても多い。道路の水はもう胸まで届いた。私の身長は180センチなのに、胸のところまで達している」

大災害が発生しているにもかかわらず、中共メディアは真実を報道せず国民を騙し続けています。7月21日になっても官製メディアの「人民日報」は、中国共産党設立100周年について報じていました。

河南省の医師、翟(てき)さんはホテルで災害状況を確認しようとテレビを付けたところ、災害を報じているチャンネルは皆無で、河南衛星放送は抗日ドラマを放送していたと話しています。

なぜ中国では、大雨が降ると8割以上の都市で冠水が発生するのでしょうか。これには理由があります。

7月20日、鄭州市中牟県(ちゅうぼうけん)に位置する常庄ダムで漏水と決壊の兆候がみられたため、当局は20日の午前10時30分から下流に向けて放水を開始しました。これによって元々深刻な水害が発生していた鄭州市がさらに追い打ちをかけられることになりました。

浸水した地下鉄を撮影した大量の動画や、水の引いた後の地下鉄駅に残された大量の死体に多くの人が胸を痛めています。一方で中央電視台の海霞キャスターは先週も、当局の洪水対策は適切であると党の偉大さを讃えました。

中央電視台(CCTV)の海霞キャスター
「華北エリアの多くの地域を大雨が襲ったが、今回各地の対応にどんな違いがあったかお気づきだろうか。私に言わせれば、今回の対応は『素晴らしい』もので、科学的手法が十分に使われている」

大災害を目の前にして、このキャスターは笑みを浮かべて「各部門は降雨が民衆に与える影響を最小限にするために全力を尽くしており、政府のこの努力は実に力強いものだ」と述べています。

中央電視台(CCTV)の海霞キャスター
「このやり方は、異常気象に対処するためのものであり、これこそが災害をもたらす天気に対応するときのあるべき姿だ」

中共メディアは地下鉄に閉じ込められ息もできなくなった民衆や、焦りと絶望の中で死んでいった民衆を無視して、党への賛美を優先しました。鄭州市当局はさらに微博の公式アカウントに「記録的な豪雨となった今回の大雨が過ぎたら、都市がより清潔になり、草木はより青々と生い茂るだろう」と投稿し、物議を醸しています。

 
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