ダム大国中国で今何が 専門家「7割以上のダムに安全上の懸念」

中国では最近、豪雨洪水が頻繁に発生して深刻な被害をもたらしています。水利専門家の王維洛氏は、世界のダムの半数に相当する約10万基が中国に集中しているが、その7割以上は安全上の懸念があるとしたうえで、河南省の水害で、当時放水されていたダムの数についても疑問を呈しています。

河南省は7月20日、激しい雨に見舞われ、流れの急な洪水に人が呑み込まれる事態も発生していますが、中共当局は常庄ダムから放水が行われたことを14時間も経ってようやく発表しました。これについて専門家は、放水が行われたダムの数に疑問を呈しています。

国土計画・水利専門家の王維洛氏
「ダム2基から同時に放水したと発表しているが、十数基から同時に放水が行われた私は推測している。ダム47基から同時放水が行われたために、鄭州市で川筋が形成されたのだとの報道も見た。特に賈魯河は、それだけの放水量を持ちこたえることができない」

河南省に続いて、湖北省も先日豪雨に見舞われ、随州市柳林鎮で発生した洪水によって家屋が2階まで浸水し、断水や停電が生じました。中共の官製メディアは、8月12日と13日に湖北省南漳県三道河ダムで放水が行われたと報じましたが、あるネットユーザーは当局が放水したから湖北省と河南省で洪水が発生したのではないかと疑問を呈しています。

王維洛氏
「実のところ、中国には現在10万基ものダムが存在している。中国の河川は、恐らく怒江だけが主流にダムがない。それ以外の河川にはすべてダムがある。よって河川を流れる水はすべてダムを通過することで管理されている。河川の水は洪水も含めすべてゲートバルブから放水されたものであり、すべて人為的にコントロールされているのだ。よって河南省の洪水は人の手によるものなのだ」

王維洛氏は、世界のダムの半数に相当する約10万基が中国にあるが、73%に安全上の懸念があると指摘しています。河南省で洪水が発生した際、鄭州の郭家咀(かくけそ)ダムの下流の堤防が広範囲にわたって崩れました。中共水利部はダムは決壊していないと発表しました。一方、、内モンゴルでは、ダム2基が決壊した際、橋25か所が流されました。

王維洛氏
「ダムが決壊した時の洪水の破壊力と、一般的な洪水の破壊力は同じではない。もともとの流速が1だとしたら、決壊時は5になる。ということは元の5倍だ。元の5倍ということは、その破壊力は25倍になる。破壊力はこれほど大きくなるのだ」

しかしこれまでのところ、中共水利部はダムの状況を公表しておらず、どの政府部門の職員も責任を追及されていません。中共水利部の李国英部長は先日、黒竜江、嫩江(のんこう)、松花江の洪水は今も継続しており、河川の一部区域では警告水位の超過や保証水位の超過が9月まで続く見通しだと指摘しています。

 
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