米下院 希土類に税額控除の新法案提出

現在、レアアース(希土類)産業は中国が優位を占めていますが、米下院では国内生産を後押しするための新しい法案が提出されました。この法案では、希土類磁石を生産する米国企業へのさらなる税額控除を計画しています。

8月10日、下院議員は希土類磁石(きどるいじしゃく)を国内で生産する企業への税額控除を拡大するための超党派の法案を提出しました。

USAレアアースCEO兼ディレクター パイニ・アルトハウス
「これは、磁石の製造を米国に戻すための極めて重要なステップだと思う。ご存知のように、永久磁石は現在ほとんど中国に依存しており、国内生産は皆無だ。中国がそれを悪用または兵器化する可能性が残されている」

USAレアアース社のCEO、パイニー・アルトハウス氏によると、この法案は米国国内の磁石製造にインセンティブを与え奨励するためのものです。今の米国の産業界の状態では、2030年までに電気自動車の販売台数を(全体の)50%にするというバイデン大統領の目標を達成することはできないと述べています。

また、希土類磁石の採掘に関しては、中国は米国より10年から20年進んでいると言います。

USAレアアースCEO兼ディレクター パイニ・アルトハウス
「これは非常に危険な状況だ。私達にはF-35が製造できない。永久磁石を搭載したほとんどの防衛機器が、中国に頼らなければ製造できないのだ。これは国家安全保障の問題であり、経済問題でもあり、グリーンエコノミーの問題でもある。この状況をこのまま続けることはできない」

別の専門家は、減税は歓迎するが、効果はあまりないだろうと語ります。

ヴォン・ホールディングス会長兼CEO ビン・ヴォン
「これらの税額控除は、米国の産業が金属業や鉱業を前進させるためには、ごく僅かな影響しか与えない」

ヴォン・ホールディングスのヴォン会長は、米国内の規制により、米国企業が特定の場所が採掘可能かどうかを評価することは困難だと述べています。

ヴォン・ホールディングス会長兼CEO ビン・ヴォン
「法の縛りが多すぎる。連邦、州、地方の各レベルで何重もの規制がしかれており、これらの企業が鉱物を本当に採掘し加工するのを妨げている。これが国内にある問題なのだ」

ヴォン氏は、この官僚主義があるからこそ、海外に進出する企業もあるのだと言います。

ヴォン・ホールディングス会長兼CEO ビン・ヴォン
「現在、中国(共)政府は金属業と鉱業を全面的に支援し、企業が鉱物を入手できるようにしている。また、企業に財政的にも、法的にも、規制的にも全面的サポートを与えている。将来の経済を考え、市場を支配するためだ」

ヴォン氏は、レアアース採掘産業には、製薬業界やテクノロジー業界が政府から受けているようなサポートが必要だと述べています。

〈字幕版〉

 
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