食糧不足?中共が飲食業界で内部告発を奨励【禁聞】

中共は最近、食の安全問題を強調しており、市場監督管理総局が食品メーカー6社を連続して摘発したほか、中共メディアも市民に対し、外食産業の不正を摘発して報奨金を手に入れようと呼びかけています。中国の食の安全問題は以前から存在していたにもかかわらず、当局が突如として「特定のグループ同士を争わせ」ることで問題の解決を図ろうとし始めた意図はどこにあるのでしょうか。

8月23日午前、有名チェーンレストランの「胖哥倆肉蟹煲」が賞味期限切れの食材を大量に使用しているとの情報がウェイボーの検索ワードトップに躍り出ました。中共は同社に対し、速やかに調査を開始しました。

この日、中共市場監督管理総局は記者会見を開き、食品安全上の問題があるとして、小龍坎、蜜雪冰城、華莱士、楊国福、奈雪的茶、大潤発超市など、有名食品メーカー6社を処罰したと発表しました。

中共メディアの「経済日報」は25日、「今、『天に替わって正しい道を行う』ことができるうえ、大儲けもできるチャンスがあったとしたら、あなたはどうする?14億の人間に1.4億市場主体を監視させ、フードデリバリー配達員や内部関係者に食品安全問題の『内部告発者』をやらせて、レストランやスーパーマーケットを告発するよう宣伝する」と報じました。

経済日報は、先日公布された『市場監督管理分野の重大違法行為通報奨励暫定方法』に基づくと、告発が事実であると証明された場合、通報者は巨額の報奨金を得ることができると報じています。報奨金は最低1000元(約17000円)、最高で100万元(約1700万円)です。

さらに経済日報は、不正を働いているレストランを一回通報しただけで1000元、場合によってはそれ以上の報奨金が手に入るとなれば、苦労して配達してもわずか5~6元(約85円~100円)にしかならないフードデリバリースタッフのほとんどが告発するだろうとも報じています。

経済日報は中共政府が全国の経済分野の重要な世論を指導するためのものですが、突如として食品安全問題を持ち出して、全国の民衆に飲食業界のあら捜しをするよう呼びかけた点が、大きく注目されています。

飲食業界を含めた中国の食品業界で、食の安全問題が頻発していることに注目する人もいます。今回の食品安全性に関する大々的な宣伝は始まりに過ぎず、本当の原因は中国の食糧不足だと指摘する声もあります。

中国の民主・公益活動家の董広平さんは、中国の民衆はコロナ禍のなかで経済的不満を募らせているので、食品安全問題を持ち出すことで国民の視線を違法業者の方にそらそうとしているのだと考えています。

中国の民主・公益活動家の董広平氏
「素敵な絵がある。習近平が真ん中に座っていて、ジャック・マーもいる。共産党は庶民に向かって、『ほら見てみろ、お前たちの食糧はすべてジャック・マーが、すべてあれらの悪徳資本家が奪っていったのだ』と言っているのだ。今度は彼らは、コロナ禍の不況が庶民に与える影響を、違う場所のせいにしようとしている。『すべてあの悪者たちがダメにしたのだ。私のせいではない。私はうまくやろうと思っていたのに、彼らがダメにしたのだ』と。これが民衆の(怒りの)矛先をかわす手段だ」

中国政法大学国際法修士の頼建平(らい・けんぺい)さんは、こうした人民統治手段は、局所的あるいは一時的に一部の食品メーカーやレストランに衝撃を与えることしかできず、中国の食品安全問題を根本から解決することはできないと指摘しています。

中国政法大学国際法修士の頼建平氏
「ある問題が非常に深刻だと思うと、突如として何か閃いて誰かを苦しめ、数日間大嵐を起こして人をひとしきり苦しめたらもう何事もなかったかのような顔をして、結局はまたやうやむやにする。各級の行政官僚は保身と金儲けのことだけを考えている。彼らの本当の(存在)意義は、人民の命や財産、健康、食品安全を守ることにあるのだとあなたは考えているだろうか。だが私は、彼らはまだその覚悟ができていないし、そのような法的基盤もないと考えている」

頼建平さんは、庶民に互いを通報させるようなやり方は邪悪だと述べています。

頼建平氏
「彼らは密告文化を形成している。多くの人が密告を利益を得る手段にしているが、これは道徳的にも文化的にも下劣なやり方だ。しかしその一方で、中国の既存の独裁制度下では、庶民の道徳観念が失われているという問題や、虚偽の事象のでっちあげといった問題が存在している。地方政府はその地方のGDPを向上させるため、これらの企業に無茶をするよう後押ししている面もあり、中には裏社会的な性質を帯びている場合もある。よって政府の法執行部門だけに調査を任せるのであれば、その効果が上がらないのは確かだろう」

食品安全問題は中国で頻発しているが、そうした問題が公になる企業は恐らく、政府高官に賄賂を贈っていないのだろう、そうすれば捕まるはずがないのだからと考える人もいます。

董広平さんは、中共はたくさんの法律を制定しているが、何か問題が起きても彼らはこれまで自分自身の原因を模索したことなどないと述べています。

 
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