ネットユーザー 習近平の外交上の失敗をSNSに列挙

習近平総書記の功績を讃える中共の官製メディアに対し、ネットユーザーはソーシャルメディアで習近平総書記の外交上の失敗を列挙しました。

中国共産党の第19期中央委員会第6回全体会議(六中全会)が開幕した後、中共の主要メディアは11月6日に長文の賛辞を掲載し、外交関係の発展を含む習近平総書記の功績を列挙しました。

掲載された賛辞の中では、習近平総書記の「我々の友人は世界中にいる!」という言葉を引用しています。同日、SNS上には、今年の習氏の外交上の失敗を列挙したリストが投稿されました。

その1、EU・中国包括的投資協定(CAI)が7年近くに及ぶ交渉の末中断

中国と欧州連合(EU)は、2013年に貿易関係の開放を目指して、投資協定交渉を開始しました。しかし、中共による報復的制裁により、協議は中断されました。

新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害の悪化を巡り、EUは今年3月にウイグル人への大規模迫害に関与した4人の中共当局者らに対して制裁を科しました。

これに対し中共は、複数人の欧州議会議員とEUの2つの組織と2つのシンクタンクに対して報復措置を取りました。

協定の締結までは遠いようです。「ブリュッセル・スクール・オブ・ガヴァナンス」のマイケル・ライテラー教授は、ガーディアン紙に「欧州議会のメンバーが制裁リストに載っている限り、協定の実現は不可能だ」と述べています。

その2、米商務省のエンティティリスト(禁輸措置対象リスト)に登録されている中国企業の数が、10社から59社に増加

中国のメディアは、米政府による中国企業への規制措置に至った要因について、監視技術や安全保障関係上での懸念があることには言及していません。

また、中国のインフルエンサーたちは、これは単に「米国の覇権主義」によりもたらされた結果だと述べています。

その3、米国が国家安全保障上の懸念により、中国人留学生へのビザ発給の厳格化

中国共産党傘下の英字新聞「チャイナ・デイリー」は今年7月、米大使館が中国の理工系大学院生ら500人以上へのビザ発給を拒否したと報じました。

「チャイナ・デイリー」は報道の中で、ビザ発給への拒否は米政府の抑圧政策の一環であるとの見解を示しています。

昨年12月には、中国共産党員及びその家族を対象として、渡航ビザ規制を強化していました。

共産党員とその家族が取得できるのは、1回限りのビザで、期間は1か月に限定されています。

SNS上の投稿では、このことが中共を最も苛立たせていることだと指摘しています。

その4、英国が中国への支援を削減

英国は今年4月、中国への支援予算を95%削減することを決定しました。

現在、中国の人権保護活動のための拠出金を90万ポンド(約1億3千万円)に減額しました。

投稿によると、このことのプラス面は、多くの中国人の目を覚ましていることです。

中共政権が何十年にもわたって先進国から援助を受けていることを、多くの中国人が認識できるようになりました。

これは中共メディアが中国の人々に包み隠していることです。

その5では、3つのケースの列挙及びそれらに対する中共の対応について記しています。

  • イタリア政府が、中国企業によるミラノの半導体メーカーの経営権取得を阻止したこと。
  • ウクライナ政府が、同国の航空エンジン製造大手「モトール・シーチ」社の中共による買収を阻止したこと。
  • 今年2月に英規制当局が中共の官製メディアであるCGTN(中国国際電視台)の英国での放送免許を取り消したこと。

SNSの投稿では、中共メディアも中共幹部たちも一律にこれらのケースについて一言も非難の言葉を発していないのは奇妙だとしています。

その6、中共による豪州に対する石炭輸入の禁止措置

中共は、昨年末から豪産の石炭を公式に輸入禁止にしています。

多くの人は、これは中共ウイルスの発生源を巡り国際調査を要求した豪政府への対抗措置だと考えています。

しかし中共は現在、石炭を調達するために、より多くの費用を支払う羽目になっているようです。

豪戦略政策研究所の報告書によると、豪産石炭を輸入禁止にしてから、中国の製鉄所では石炭100万トンあたり4億ドル以上のコストがかかっています。これは他の国と比べて約2倍の価格となっています。

また、中共当局が他の国から購入した石炭は実は豪産石炭であり、ラベルを貼り替えて、より高い価格で販売されたものだといいます。

投稿では、このプロセスは「おかしくて恥ずかしい」と指摘されています。

そしてリストの最後の項目に挙げたのは、EU、英国、カナダなど32か国が、中国を開発途上国と認可して付与していた一般特恵関税制度(GSP)を12月から廃止することに決めたことです。

一方、中共はこれを「中国の競争力向上の証」と自負しています。

しかし、台湾の経済学者はこれは警告だと指摘します。

国立台湾大学経済学部・林向愷教授
「これは、中共がこれまで行ってきたことが世界貿易の公平性を損なっていることを伝えるための手段だ」

この投稿に対し、あるネットユーザーは「今年はまだ終わっていない。この数か月で更なるサプライズがあるかもしれない」と投稿しています。

 
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