アリババ 自社株買いを3兆円に拡大

中国の電子商取引大手アリババグループは、下落した株価を下支えするために22日、自社株買い計画を250億ドル(約3兆円)に拡大したと発表しました。これは、アリババが中共規制当局の取締りと、中国国内で深刻化しているウイルス流行による成長鈍化に対する懸念を払拭するためです。

中国の電子商取引業界の最大手であるアリババは22日に、自社株買い計画を250億ドル(約3兆円)まで拡大すると発表しました。これは同社にとって記録的なことであり、自社株買いの拡大も2度目となります。

昨年は、当初100億ドル(約1.2兆円)の自社株買いを発表しましたが、8月にその規模を150億ドル(約1.8兆円)に拡大しました。アリババのこの動きは、株価が過去1年間で50%以上暴落したことを受けての事です。

アリババの創業者で億万長者のジャック・マーが2020年10月に中共規制当局を公に批判して以来、アリババは圧力下に置かれています。規制当局はその後、独占禁止法違反で、過去最高の28億ドル(約3,300億円)の罰金を科し、アリババグループの金融関連会社アントグループ(螞蟻集団)の超大型新規株式公開(IPO)を停止させました。投資家もまた、競争の激化と成長の鈍化を懸念していました。

アリババは現在、この下落は同社の価値と展望を公正に反映したものではないとしており、また、上昇相場への売り込みも期待しています。

中共当局が経済支援策を講じると発表したことを受け、ここ数日、中国のハイテク株が買われています。アリババの香港取引株価は、自社株買い計画の発表を受けて11%以上上昇しました。

企業が自社株買いを選択するのには、いくつかの理由があります。一つ目は、会社の全体的な健全性と見通しに対する信頼感を高めるためです。二つ目は、この動きによって1株当たりの利益(EPS)を上げるためです。しかし、アリババのこの行動は、米国市場とどのように結びついているのでしょうか?

アリババは、2014年9月に「BABA」という名前でニューヨーク証券取引所に上場しています。

そういう経緯があるため、米国の投資家たちも巻き込んでいます。中共の規制当局は現在、アリババをはじめ、米国に上場している多くの中国企業に対して、監査の情報開示に備えるよう指示しています。

これまで中共当局は、国家安全保障上の問題を理由に、米国に上場したこれらの企業の帳簿を米規制当局に公開することを拒否してきました。今回の動きは、中共当局が中国国内企業のニューヨークでの上場を維持するために行っているものです。

〈字幕版〉

 
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