東方航空は航空機を社内で補修 穴あけは手作業

3月22日に墜落した中国・東方航空MU5735便に搭乗していた132人全員の死亡が確認されました。東方航空の航空機整備状況を撮影した「東方航空技術雲南支社シフトフォーク修理現地レポート」が注目されています。この映像は、東方航空のメンテナンスチームが潜在的に多くの問題を抱えていることを露呈させています。

この映像は東方航空が制作したもので、同社がボーイング737-800NG型機のシフトフォークを自主修理している様子が撮影されていますが、東方航空のメンテナンスチームが潜在的に多くの問題を抱えていることを自ら露呈させる結果となっています。

この映像は米国在住の自主メディア、江峰さんが最初に転載しましたが、中国メディアの澎湃新聞網の元記事はすでに削除されています。

中央電視台(CCTV)キャスター
「ボーイング737NG旅客機はすでに世界で50機が飛行停止になっている」

この映像の冒頭部分は、2019年に中央電視台のニュース番組を引用して、ボーイング社はシフトフォークに亀裂が生じた旅客機約50機に対するリコールを世界規模で行っており、東方航空の737-800NG2機も補修が必要なはずだと伝えています。しかし、旅客機を米カリフォルニア州の同社の修理拠点まで飛ばした場合、補修作業には少なくとも6か月かかるため、東方航空は経済的損失とランニングコストを考慮した結果、機体の修理を自社で行うことを決定したとしています。

東方航空の記録映画
「今回は隔壁接手の交換作業で、飛行機の揚力のバランスを取ることが難しい部分だ。新品の部品の位置決めと特殊な位置での2つの穴開けという3つの面での作業だ」

航空専門大学を卒業後、20年近くの飛行経験を積み、定期運送用操縦士資格(ATPL)も取得した航空機操縦士のSkyさんは、東方航空の自社修理作業宣伝映像を見終えると、「驚愕した」と言い、懸念を示しました。

東方航空の記録映画
「空間が狭いため、穴の位置を近づけるのは簡単ではないし、工具もそろっていない。我々は既存の工具を改造して…」

東方航空の宣伝映像によると、25.43ミリメートルの穴をあける時は、「対応する」工具がないため、東方航空エンジニアリングチームが自主開発した手動の「段階的リーミング」という方法で穴をあけています。

Skyさんは、航空機は非常に精密に設計されており、各孔はすべて大きな圧力を受けるため、孔と孔の間隔に誤差が生じると、飛行時に航空機が耐えられる圧力に間違いなく影響が出ると指摘しています。ほとんどの航空機メーカーはコンピューター機器を使ってデータを正確に測定しており、東方航空のように手作業でこの作業をすることはまれだといいます。手作業では飛行機に必要な精度が出せないのではないかと懸念されています。

また、航空機の小さなパーツのどれもが大きな圧力に耐えられなければならないため、通常の航空機材、特に航空機の構造部品はもちろんのこと、胴体と翼を留めるネジなどは言うまでもありません。

記録映画では、「工具設備の立ち遅れた」状況にあったボーイング航空機メンテナンスチームが修理を終えたと東方航空を称賛しています。Skyさんは、「工具設備の立ち遅れ」は単なる表面的な問題にすぎず、東方航空が使用している器材や技術者の技術がボーイング社のレベルに達しているかどうかが重要だと考えています。

東方航空が自社で補修を行っていることで、ボーイング737-800NGのランニングコストと支出は下がったかもしれませんが、安全性と専門性が担保されているかどうかについてはコメントを控えています。

東方航空はこれより前に、東方航空が補修管理していた航空機は2020年9月8日にすでに現役を退いているため、今回墜落したB-1791機は該当しないと説明していました。これに対しSkyさんは、すべての重大事故はある日突然起きるのではなく、小さなことが積み重なった結果だとして、さまざまなところで多くの兆候が見られたはずだと指摘しています。事故を防ぐためには、航空会社と関連機関には、墜落した機体の整備補修記録を提出して業界内の専門家に評価を依頼し、顧客が安全な空の旅に出られるようにする責務があると指摘しています。

 
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