計画経済の復活か 中共の「全国統一大市場」

4月10日、中共国務院は「全国統一大市場の建設加速に関する意見書」を公表しました。中国経済の自立のために、「全国統一大市場」の建設を加速化する必要があるとしています。この文書が実際にどのような内容なのか、そして中共が戦争の準備をしているかどうかを示すものなのか、見てみましょう。

中国経済の対外依存度を下げるために、中共政権は新たな計画を発表しました。

それは、いわゆる「全国統一大市場」を建設することです。

中国問題評論家 唐靖遠氏
「中国共産党の今回の行動は、代表的なものであり、つまり、中共は西側諸国のイデオロギーや社会体制に政治的な挑戦を提案しただけでなく、経済分野でも、独自のいわゆる「中国計画」を打ち出そうとしている」

中国共産党が10日に発表したガイドラインによると、「全国統一大市場」に関する意見書は、中国の国内生産から資源利用まで、より多くの規制を推進することを目的としています。それは、エネルギー、データ、技術など、さまざまな分野を網羅することになります。

また、新しい戦略では、地方保護主義を打破し、国内市場が効率的に機能するのを妨げる様々な障害を排除することも視野に入れています。

中国では、地方保護主義とは、地域的な封鎖や物資の流れの制限を意味し、これは通常、市や省レベルの役人が地元産業を保護するために行うことの一部です。

しかし、中国問題評論家の唐靖遠氏は、それは表面的なものに過ぎないと言います。

中国問題評論家 唐靖遠氏
「実際には、中共がすべてを管理する統一市場を作ることが目的だ。つまり、中共はあらゆる商品の生産から流通、市場へのアクセス、最終的な消費に至るまで、全ての過程に介入することができるのだ」

中共は、現時点でもう一つ、より現実的な目的があるといいます。それは、目下の中国経済のジレンマを解決したいということです。

最近、中国の大都市で相次いで厳しいロックダウンが行われ、国内の製造業に圧力がかかり始めています。

その上、ロシアのウクライナ侵攻が中国のサプライチェーンの混乱に拍車をかけています。また、食糧やエネルギーなどの重要資源の不足も深刻です。

中共にとって、ロシアの侵攻に対して発動された世界的な経済制裁は、教訓になり得るものです。

ある共産党幹部は11日のインタビューで、中共官製メディア(新華社)に次のように述べました。

「全国統一大市場の建設を加速させることは、科学的、技術的に自立を成し遂げるために現実的に必要なことだ」

中国問題評論家 唐靖遠氏
「中国共産党は将来に備えているのかもしれない。例えば台湾。もし、台湾侵攻に踏み切った場合、現在のロシアと同様、あるいはそれ以上に厳しい経済制裁を受ける可能性がある。そうすると、その制裁の悪影響を最小限に抑えなければならない。そのためにも、自給自足で自立した国内循環の経済モデルを確立しなければならないのだ」

しかし、世界第2位の経済大国である中国が国内に向けて舵を切ることによって、世界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

中国問題評論家 唐靖遠氏
「市場経済と計画経済という、2つの重要なモデルの間の溝が深まることは間違いない。つまり、政治的なレベルだけでなく、経済的な領域においても、世界の二重性に拍車をかけることになるだろう。

中共の「全国統一大市場」戦略は目新しいものではありません。

基本的には、中央集権的計画経済と同じ構造です。中国共産党政権は過去に、欧米の資本主義に対抗するためにこのモデルを導入していました。

そして「全国統一大市場」が実現すると、中国はかつての体質に戻る可能性があります。

同会議の期間中、李克強首相の発言も、世間の注目を集めています。

一部の中国語メディアは、人目を引くような見出しでこの発言を報じています。「李克強は真実を話すよう奨励した」。

李克強総理は企業家代表との会談でこの発言をしました。あるメディアは、李克強がなぜこのような発言をしたのかと疑問を投げかけました。中国では、真実を語るにはしばしば勇気が必要で、失業や刑務所に入るなどのリスクが伴うこともあります。

〈字幕版〉

 
関連記事