李克強総理の講話が党メディアから全面否定

中共の李克強総理が先日、政府高官10万人が参加した経済会議の席で中国経済の状況が悪化していることを認め、地方政府の経済振興を促しました。しかし、李克強総理の講話は、その夜すぐに党メディアから否定されました。習近平総書記は3期目の続投を果たすため、5つの措置を強力に推進しています。

李克強総理は先日、政府高官10万人が参加した経済会議の席で、中国経済が現在厳しい状況に置かれているとして、対策を取らなければ恐ろしい結果を招くと率直に指摘しました。

大紀元コラムニスト 王赫氏
「現在の中国経済の危険な局面は、主に中共政策の衝撃が発生源となっている。政治的に間違った意思決定が経済を苦境に立たせている」

今回の講話は国際社会からも注目されましたが、中共はその日のうちに李総理の講話を全面否定し、SNSに広まっていた講話全文を削除しました。

25日夜、党中央機関紙「経済日報」が突然、「現在の経済情勢を全面的に論証する」との一文を掲載し、李克強総理の講話を全面否定しました。翌日、新華社や人民日報もこの記事の全文を転載しました。

世論は、李克強総理が明かした中国の経済発展の真相は、10万人の政府高官の前での発言だったうえ、「ゼロコロナ」政策が経済状況を追い詰めていることを言外に示していたことが、中央政府上層部には耐えがたかったのではないかと考えています。

大紀元コラムニスト 王赫氏
「中共は『感染症はコントロールが必要、経済は安定が必要、発展は安全が必要』と言った。なぜなら、中国のダイナミックゼロコロナは、この3つの目標の間でこれらを完全に実現不可能にしてしまったからだ。その内部で殴り合いのけんかになっているのだ」

習近平総書記は中国経済の現状を無視し、ダイナミックゼロコロナを強く推進しています。習総書記は3期目の続投を果たすため、5つの措置を推進しています。

1.退職幹部への警告。習総書記はこれまでに、退職幹部は政治方針に関してでたらめな議論をするなと何度も要求していました。これは「舞台裏の実力者」江沢民とその一派への警告です。

2.軍事掌握権の強化。習総書記は反腐敗運動を通じて、中央軍事委員会、五大軍種、五大戦区、北京警備区、中央警備局の重要ポストを自らの手中に収めてきました。

3.政法系統を粛正し、権力を掌握。「孫力軍政治グループ」に対する粛清を行った後、習総書記は公安系統に対する粛清も継続しています。その前にも50人以上の処級幹部を公安系統から追い出しました。

4.江沢民派と繋がっている縁故資本に打撃を与え、江沢民の財源ルートを断ち切る。アリババや滴滴出行(ディディチューシン)などの巨大資本を粛正したあと、曽慶紅の姪、曽宝宝の花様年(かようねん)グループも粛清され、今年5月19日夜、株式の51%を売りに出すと発表しました。

5.メディアに対する統制の強化。北京に本部を置くネットメディア「多維網(ドゥオウェイニュース)」は主に海外の読者を対象とした中共の対外プロパガンダを行っていますが、江沢民や曽慶紅のためのプラットフォームとして反習近平派のために重要な役割を密かに担っていました。4月26日午後、多維網は運営停止を発表しました。

習近平総書記は3期目の続投を果たすため、様々な手段を打ち出していますが、台湾の財経専門家、黄世聰氏は、ゼロコロナ政策を止めなければ民衆の恨みが蓄積し、第20回全国代表大会の前にそれが政治的圧力に変わって中共政権に衝撃を与える可能性があると指摘しています。

 
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