中共当局 新たな密告奨励制度を開始

中国共産党は、国内の取り締まりをさらに強化しています。国家安全部は6月6日、国家の安全に危害を加える行為を防ぐためなどとして、通報を奨励する制度を発表しました。

国家の安全を脅かす人々を通報した場合、最大10万元(約200万円)の報奨金を支払うとしています。

中共は「国家の安全」を広い範囲で捉えています。腐敗した党幹部に関する情報や、中国で起きている人権侵害なども含まれますが、これらの多くは隠蔽されています。多くの記者、人権活動家、そして自らの権利のために戦う人々が、「国家の安全」を危険に曝すとされ、逮捕されています。

外国人特派員、宣教師、NGOスタッフなどがこの容疑で拘束されました。また、海外に留学し、自由世界の影響を受けている人たちも同様です。

これらの人々はどのようにして当局に見つかるのでしょうか。

当局は、規則を破った人を通報するよう促しています。

通報者には、証明書による「精神的報酬」、または現金による「物質的報酬」が与えられます。これは、中共の国家安全部が6月6日に発表した規定によるものです。

専門家は、このようなキャンペーンは社会を破壊するものだと述べています。

中国の元人権弁護士 呉紹平氏
「いわゆる外国のスパイ、敵軍、侵入者など、これらは全て中共の捏造で、赤色テロの雰囲気を作り出すためのものだ。これにより、人々は互いに不信感を抱き、疑い合うようになる。そして、人々が互いに当局に密告するように仕向けるのだ」

中国問題専門家 頼建平氏
「これにより、スパイ狩りや密告が流行るだろう。そして、誹謗中傷や濡れ衣を着せることも起きてくるだろう」

中共は長年にわたり、いわゆる外国のスパイやその協力者を通報するよう民衆に呼びかけてきました。この取り組みは、現在の習近平総書記のもとで、さらに強化されています。

専門家は、スパイ狩りの強化は、習近平に対する国民の不満に対して、当局が神経質になっていることを表していると述べています。

中国問題専門家 頼建平氏
「彼らの目的は、習近平が第20回中国共産党全国代表大会で権力を固め、その地位を維持し続けることだ。だから、この機会に不安定な芽をすべて摘み取るのだ。彼の味方でない者、政治的な反体制派はすべて標的になる。これは一般市民だけでなく、党の幹部も同じだ。彼らの目的は、人々を恐怖で黙らせ、習近平に対する潜在的な抵抗力を抑圧することだ」

習近平総書記は今年10月に行われる第20回中国共産党全国代表大会で、3期目を目指します。習近平は2007年に胡錦濤によって後継者に指名され、2012年に総書記に就任しました。

〈字幕版〉

 
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