NIHは武漢研究所への資金提供を止めるのか?

米国最高峰の医学研究機関は、中国に税金を送り研究を続けさせるのでしょうか?ある議員がアンソニー・ファウチ博士にこのことについて質問しました。

米国立衛生研究所(NIH)は、800万ドル(約10億円)以上の税金を中国での研究資金として提供してきました。ある議員はアンソニー・ファウチ博士に、中国への助成を止めるかどうかについて質問しています。ロジャー・マーシャル上院議員は公聴会で、米国にとって最も脅威となる国について次のように述べています。

米共和党上院議員 ロジャー・マーシャル氏(カンザス州)
「私の知る限り、中国だけが米国の研究資金を受け取っている。中国共産党は科学者を制御し、彼らが取り組む研究成果の公開を統制している。しかし、NIHの助成金政策では、助成対象者が研究記録を保持することが義務付けられているが、その記録が中国共産党の管理下にある場合、それは不可能である。NIH長官として、あなたはいつ中国での研究への助成を打ち切るのか?」

ファウチ博士は、NIHの中でも最大規模の研究所である米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長であり、バイデン大統領の首席医療顧問でもあります。質問に対し、ファウチ氏は次のように答えました。

米国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) 所長 アンソニー・ファウチ氏
「NIHや連邦政府の他の機関では、中国の同僚と非常に生産的で査読を受けた研究プロジェクトを行っており、これは生物医学研究の大きな進歩につながっている。だから、中国への資金提供を止めるとは言えない」

ファウチ氏は、中国に資金を提供する場合は適切な査読をする必要があるといいます。

米国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) 所長 アンソニー・ファウチ氏
「中国を含む外国への助成金は、国務省の許可が必要であることを指摘しておく。だから、中国をはじめ他国に資金を提供するときは、いかなる時も国務省の許可を得なければならない」

マーシャル議員は次に、物議を醸している「エコヘルス・アライアンス」という非営利団体の研究に、一般市民が十分にアクセスできるかどうかについて質問しました。

米共和党上院議員 ロジャー・マーシャル氏(カンザス州)
「しかしあなたは、エコヘルスを通じて行われた研究の記録に、我々がまだアクセスできないということを否定しない。そうですよね?」

ニューヨークの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」は最近議論の的となっており、リスクの高い生物学的研究に対するNIHの監督が疑問視されています。

エコヘルス・アライアンスは、NIHから助成金を受け取っています。その資金を使って、「武漢ウイルス研究所」と呼ばれる研究室と研究を行いました。この2つの研究所は、ウイルスを人間の間でより簡単に拡散させる方法について実験しました。武漢の研究所は後に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを引き起こしたウイルスを流出させたかどうかで大論争に発展することになりました。

その結果、NIHはリスクを伴う研究に対して十分な監督をし続けているかどうかが疑問視され、論争に引きずり込まれました。

この質問に対し、ファウチ氏は次のように答えています。

米国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) 所長 アンソニー・ファウチ氏
「マーシャル上院議員、我々は膨大な情報にアクセスすることができるが、我々がアクセスできないようなことが行われているのではないかという疑問がもたれている。しかしこの助成金を見ると、エコヘルスから年間12〜13万ドル(約1,600〜1,800万円)が中国での再配分として支給され、非常に関連性の高い、優先度の高い質問をしていることがわかる。我々は、彼らが助成金を受けた目的を達成したことを示すデータを含む文献を、彼らから受け取っている。もちろん、我々は中国で起きていることをすべて知っているわけではない。しかし、もし今回の問題が、エコヘルスから中国に支給された、査読付きの優先度の高い小規模な助成金であれば、我々は多くの良い情報を持っており、それは公開されている」

エコヘルス・アライアンスは2014年から2019年にかけて、NIHから300万ドル(約4億円)以上の資金を提供されており、その5分の1が武漢の研究所に流れました。これは、米ネットメディア「ザ・インターセプト」の報道によるものです。

〈字幕版〉

 
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