日米豪演習 初めて中共を仮想敵国に

先日、日米豪の合同軍事演習「キーン・エッジ24」が行われました。演習では台湾で緊急事態が発生した場合の対応策が想定され、初めて仮想敵国を「中国」と明示したと日本メディアが報じました。この報道は各方面で懸念を引き起こしています。

2月1日から8日にかけて、日本の自衛隊と米軍が合同で「キーン・エッジ24」演習を行い、今年は豪州も初めて参加しました。

日本のメディアは、複数の政府関係者の情報を引用して、今回の演習のテーマは台湾周辺で起こり得る「危機や突発的な状況」とその対応に焦点を当てていると報じました。従来の曖昧な地図やコードネームによる架空の敵とは異なり、今回の演習では修正されていない実際の地図が使用され、仮想敵国が初めて中共であると明示されました。

これは1986年以来、日米合同軍事演習で初めて、中共を明確に指定していることになります。外部からは異例の事態と見なされています。

台湾の国防安全保障研究院の沈明室所長によると、挑発的な行為とみなされるため、一般的な軍事演習では、特定の国を仮想の敵として指定することはありません。戦争の危機に瀕しているか、あるいは実際に軍事的脅威を感じることができる場合にのみ、その国を主要な対象として扱います。

台湾の国防安全保障研究院、沈明室所長
「対象が明確であれば、実際に戦闘を行う際に、その対象の能力などに対して、いくつかの計画を微調整または修正する必要があるかどうかを確認することができます。しかし、そうでない場合は、具体的な戦闘計画を立てたことになり、今回の演習を通じて、その計画が実行可能かどうかを確認することができるのです」

台湾の国立金門大学国際・大陸事務学部の盧政鋒副教授は、この演習は過去数年間、中共の東シナ海や南シナ海、さらにはインド太平洋地域での拡張に対する実戦的な対応の一環であると述べています。

国立金門大学国際・大陸問題学部 盧政鋒副教授
「(日本の)読売新聞は、中国海軍が日本と台湾の周辺海域に4隻の軍艦を長期間配備していること、そして、2022年8月にナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問した際、中共軍が発射した11発のミサイルのうち少なくとも4発が日本の排他的経済水域に着弾したことを確認しています。日本は南西諸島の防衛を強化すると同時に、相応の対応策も準備しています。今回の演習は、より現実的な対応と状況を示しています」

これに対し、北京は不満を示し、「厳正な立場を示した」だけでなく、日本国内の勢力が台湾問題で騒ぎを起こしていることを批判しています。

盧政鋒副教授
「中国大使館のこのような対応は、基本的に中国国民に対する説明であり、本当の事実を隠蔽しているにすぎません。最近、中国メディアは中共の3人の高官が東部戦区司令部を訪問したことを報じ、これは中共の窮兵黷武の姿勢を示すものです」

かつて日本の自衛隊、吉田圭秀・統合幕僚長と統合幕僚監部の報道官は「キーン・エッジ」演習では、どの国も仮想敵国とは見なさないと述べていました。

しかし、東京にある多摩大学ルール形成戦略研究所(CRS)のブラッド・グロッサーマン副所長は、演習の際、敵が何と呼ばれているかは問題ではないとし、過去の歴史上、日本は誰を潜在的な対象と見なすかを明らかにすることを常に避けてきたと述べています。

一方、退役米海軍大佐であるグラント・ニューシャム氏は、「キーン・エッジ24」演習は中共をターゲットにしており、中共が唯一の合理的な対象であると述べました。これはまた、台湾との戦いに備える必要があることを意味し、台湾に問題をもたらすのは中共であるといいます。

沈明室所長
「訓練と演習が直接中国を対象としていることは、合理的だと思います。もし今、米国や日本が未だわからない敵を想定して演習を行っているなら、それは過去の中共の長期的な戦略的野心を無視していることになります。実際、中共にはこのような戦略的意図があります。ただし、経済状況がよくないため、戦争は国家経済の崩壊や内部の権力闘争などを引き起こしかねません。しかし、1958年に三面紅旗(大躍進を目指す社会主義建設路線)が終わった後、中共は経済が非常に悪いにもかかわらず、金門への砲撃戦を開始しました。ですので、中共は必ずしも欧米社会の考え方ではないのです」

沈明室所長は、他国からの侵略や脅威に対する早期の準備は、一方で共同作戦の効果を強化し、他方で多国間の共同作戦を通じて威嚇効果を構築することができると述べました。

ニューシャム氏は、サイバーと宇宙関係の内容を今回の演習に組み込むことで、同盟国が中共による台湾攻撃に備えていることをさらに証明していると述べました。

盧政鋒副教授によると、現在の米欧およびインド太平洋同盟の軍事協力態勢から、中共は台湾に対して容易な武力行使に対し、効果的な威嚇となっています。

 
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