手の話(上)ー「争」に隠れた両手

悠遊字在漢字の由来

手の話(上)ー「争」に隠れた両手

 

 

 

 

【冒頭の詩】

「両手は万能」も両手次第

友に合えば握手する

甘い月日は手をつなぐ

一家を立てるには手をまめに

人が困れば手を差し出す

古い情は手を切りがたい

 

【あらすじ】

日頃、何気なく使っている「手」。怪我をしてみると、そのありがたさを今さらながら実感する。人は何をするにしても、手を使わないと非常に不便だからだ。それで、手を使った言葉は数多い。

また、「手」から由来した漢字も豊富だ。例えば、「扌(てへん)」。これは中指と腕が真っ直ぐにつながった手を表す。ほかにも、「又(ゆうぶ)」「爪(そうぶ)」など、手の向きや部位によって、様々な変化を遂げてきた。古人の細やかで優れた観察力には、頭が下がる思いだ。

現代人は昔に比べて、手が不器用になったという。わざわざ手を使わなくても、便利に生活できる色々な道具や機械が生まれたからだろう。だが、なぜ人には、これほど自在に細やかに動かせる手を与えられたのだろうか?その手をまめに動かし、素晴らしい人生を切り開いてほしい、そんな願いがこめられているのではないか?この番組を通じ、改めて手の大切さ、そのぬくもりを見直してみてほしい。

 

【漢字について】

1、甲骨(こうこつ)文字:

四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われた文字が、ずばり甲骨文字。

2、金文(きんぶん)文字:

甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。ここでの金は、青銅器を指す。当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。

3、小篆(しょうてん)文字:

金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)。これは小篆と大篆に分かれる。秦の始皇帝は、ばらばらだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆だ。

4、楷書(かいしょ):

南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。

 
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