米朝、非核化巡り見解相違 ASEAN関連会合で表面化

[シンガポール 4日 ロイター] – ポンペオ米国務長官は4日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会議出席のため訪問したシンガポールで、北朝鮮に対する制裁を維持する必要があると訴えた。これに対し北朝鮮は、米国の意図は憂慮すべきだと批判し、両国の立場の相違が表面化した。

北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相はASEAN地域フォーラムで「北朝鮮は米朝共同声明を誠実かつ責任ある形で履行する決意を堅持している」と表明した。

その上で「しかし、米国内で同国首脳の意図とかけ離れた従来の姿勢に戻ろうとする根強い動きが出ていることは警戒すべきだ」と述べた。

これより先、ポンペオ長官は東南アジア諸国に対し、北朝鮮が核兵器開発を放棄するまで同国への制裁を維持するよう求めていた。

3日には、北朝鮮が兵器開発を続けていることは金正恩朝鮮労働党委員長の約束と矛盾するとの見方も示唆していた。ただ4日には、「時間は掛かるだろう」が、北朝鮮の非核化は実現可能だと期待していると述べた。

李外相は、北朝鮮としては核・ミサイル実験の停止や核実験場の廃棄など善意ある措置を講じてきたと主張し、「それにも関わらず米国はこうした措置に応える代わりに、制裁維持を求める声を強めているほか、朝鮮半島の平和に向けた非常に基本的な一歩である終戦宣言からも後退するような態度を示している」と批判した。

ポンペオ長官は4日、米国はいかなる制裁緩和の動きも非常に深刻に受け止めるとし、北朝鮮労働者を多数受け入れ国連安全保障理事会の制裁決議に違反している可能性があるとしてロシアを名指しで批判した。

ポンペオ長官はシンガポールで李外相と公式会談は行わなかったが、4日の写真撮影の際に李外相に歩み寄って握手し、笑顔で言葉を交わした。米国務省によると、ポンペオ氏は「近く再び協議すべきだ」と述べ、李氏は「同感だ。多くの生産的な会話をする必要がある」と答えた。

 
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