海南島が自由貿易港に?国外の期待感は希薄

昨年に発表された「海南自由貿易港の建設全体プラン」を中共が再度宣伝したことが注目を集めています。この自由貿易港は中共がアピールするとおり、香港を追い越すことができるのでしょうか。しかし国外からは大きな反響がありません。

「企業が生産する『関税ゼロ』のボートが正式に交付」、「ベントレーを半額で!海南自由貿易港の輸入車はなぜ安い?」。インターネットに表示されるこうした見出しが注目を集めていますが、よく読むと海南自由貿易港に登録を済ませた法人格を有する企業しか、車両や船舶を関税ゼロで輸入できないことが分かります。

全国人民代表大会で6月10日、2025年に全島レベルで海南自由貿易港と本土との隔離を行うとする法案が可決され、2050年には香港とシンガポールをしのぐ自由貿易港としての地位を確立させるとしています。

しかし2013年9月に上海自由貿易区が設置されてから、中共政府はすでに21か所の自由貿易区を設けています。海南自由貿易港は「中央から支持された」「税制優遇」特恵政策が適用される点を除き、海南自由貿易港には他の自由貿易区と比較しても目立った違いがありません。

台湾のマクロ経済研究者 呉嘉隆氏
「本当に自由貿易港が必要なら、もう香港があるではないか。東莞市や深圳もすべて香港として位置づけて『大香港』と呼び、東莞のあたりに境界を設置してやるほうがもっと簡単で便利だ。それを海南島でやるのか」

昨年6月にある女性起業家が海口市の上層部に対し、海南省のある官僚が職務を遂行しないため、ビジネス計画を報告して数か月も経つのに何の返事もないと不満を漏らしました。

この効率の悪さのほかにも、海南省の国内経済生産高は、チベットや青海省、寧夏に継ぐワースト4位に位置しています。

呉嘉隆氏
「また計画を立てた。党が数年前にも雄安(新区)計画を立てて、『千年の大計』と呼んでいたのが、いつの間にかうやむやになってしまったのではなかったか。すべて机上の空論だ」

台湾のマクロ経済研究者、呉嘉隆(ご・かりゅう)氏は、海南自由貿易港を打ち出した目的は、外国企業を誘致して外貨を呼び込むためだと指摘しています。

呉嘉隆氏
「中共は香港と約束したことを果たせなかった。彼らは今、海南省で新たなバージョンに取り組んでいるが、一つの独立した関税分野をどれだけ長く維持できるかついて、何も言及していない。それでどれくらいの外国人投資家を引き付けられるだろうか。これには大きな問題がある」

中共の信用は、香港との間で結んだ一国二制度を破棄したことで完全に失墜しています。海南自由貿易港が海外からの投資家をどれだけ引き付けられるのか、国外からの期待感は希薄です。

 
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