キューバ危機再来か 中共による監視基地設置

中国共産党(中共)がキューバに秘密基地を設置し、米国の情報を盗聴し、スパイ活動をしているという報道について、米国防総省は8日、不正確な情報だと反論しました。しかし、専門家によれば、この報道は偽情報ではなく、米国の対応には考慮が必要だといいます。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は8日付の記事で、米政府関係者の話を引用し、中共がキューバと「数十億ドル」規模の秘密協定を結び、キューバに「盗聴基地」を設置し、米国の通信を傍受できるようにすることで合意に至ったと伝えています。

報道によれば、これは中共による米国への「新たな地政学的挑戦」と言われています。

しかし、これに対しホワイトハウスとペンタゴンはいち早く反応し、「このような事実はない」と否定しました。

米国防総省のパット・ライダー報道官
「関連する報告を見ましたが、我々の情報によれば、それは不正確だと言えます」

​​しかし、ホワイトハウスもペンタゴンもこのニュースを「完全否定」しておらず、具体的な説明もしていません。

時事評論家・唐靖遠氏
「米国はこの問題に対してかなり曖昧な対応をしています。最大の理由は、ブリンケン国務長官が今週中国を訪問するため、これは優先の協議事項だからです。つまり、米国政府としては、スパイ気球の時のように、ブリンケン氏の訪中を台無しにしたくないという思いがあるのでしょう。中共幹部との接触を再開させることは、目下のバイデン政権の優先事項です。米国が今、控えめな対応をしているのは政治的観点における結果に過ぎません。最終的に米国が本当に見過ごすことはないでしょう」

米国は重要な米軍基地の多くが南東部にあり、キューバはフロリダ州から約100マイル(約160 km)しか離れていないことから、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道が真実だとする見方は多くあります。マイク・ポンペオ前米国務長官や複数の国会議員が、米政府に対し、この動向を追跡調査するよう求めています。

また、多くの分析筋が、中共にはあらゆる画策があるため、「秘密基地」の話は信憑性が高いと述べています。

唐靖遠氏
「米中間の対立が激化するなかで、特に中共のスパイ気球事件以降、中共は気球からの情報収集はほとんど不可能になりました。そのため、中共は米国本土に接近して情報を収集するなどの代替手段を緊急に必要としています。また、中共にはその能力があり、米国の背後で監視拠点を設置できれば、非常に高い情報戦略的価値を手に入れることになります。

これが、情報収集をめぐって米中間の挑発や対立が頻繁に発生している理由でもあります。さらに、これは単に情報を盗むという技術的な動きだけでなく、米国を挑発する政治的な動きでもあるのです。かつてキューバ危機で、当時米国はソ連の強大な圧力を感じました。中共はこれを利用して、当時のソ連より自分たちの方が強いと、米国に警告を発しているのです」

 
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